笹生優花と山下美夢有が「パリ五輪」へ メジャーでドラマ連発の“選考レース”を振り返り

2021~2024年

8月7日に開幕する「パリ五輪」女子ゴルフの代表レースが「KPMG全米女子プロ」で終了し、各国代表は24日時点の世界ランキングをもとにした五輪ランキングで決定する。笹生優花と山下美夢有がその座を手中に収めた日本勢の競争を振り返る。

パリ五輪代表に笹生優花と山下美夢有/女子世界ランキング

■稲見萌寧が母国開催で銀メダル

2021年東京オリンピックで2位の稲見萌寧(撮影/和田慎太郎)

コロナ禍で1年延期となった間に世界ランクを上げて2021年「東京五輪」の出場権をつかんだ稲見萌寧が、リディア・コー(ニュージーランド)とのプレーオフの末に日本ゴルフ界初の銀メダルを獲得。東京での金メダルを目標に掲げていた畑岡奈紗は9位で終えた。

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■フィリピン代表→日本国籍を選択

21年8月、フィリピン代表として東京五輪に出場した笹生が日本国籍を選ぶ手続きを完了。重国籍者は22歳になるまでに国籍の選択をする必要がある日本の国籍法に対応するためだったが、結果としてパリ五輪の日本代表レースにも加わることとなった。

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■スコットランドで米ツアー初V

2022年「スコットランド女子オープン」で米ツアー初優勝を飾った古江彩佳(撮影/村上航)

22年7月の「スコットランド女子オープン」で古江彩佳が米ツアー初優勝。20-21年シーズンの国内ツアーで最優秀選手賞と新人賞を獲得し、翌年から主戦場を移して本格参戦16試合目でタイトルをつかんだ。世界ランクでも日本勢2番手に浮上した。

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■年間女王戴冠で3番手に急浮上

国内ツアー最年少で年間女王に輝いた山下美夢有(撮影/村上航)

22年11月、山下が国内ツアー「伊藤園レディス」を制して史上最年少(21歳103日)で年間女王戴冠を決めた。同年5勝をマーク。シーズン1勝目時点で日本勢9番手(60位)だった世界ランクも、年末には2番手古江の22位に肉薄する23位まで上がった。

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■メジャー1打差惜敗でV字回復

2023~2024年

23年6月、笹生が「KPMG全米女子プロ」でメジャー2勝目に迫った。最終日の猛チャージで1打差2位。43位に下がっていた世界ランクは24位となった。同大会8位の古江は、前週1番手に浮上したばかりの山下と畑岡を抜いて日本勢で初めてトップに立った。

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■ペブルビーチで“エース”が復権

2023年「全米女子オープン」を4位で終えた畑岡奈紗(撮影/高藪望)

23年7月、畑岡が「全米女子オープン」で悲願のメジャー制覇に挑んだ。初めて単独首位で迎える最終日、同じ最終組のアリセン・コープスにタイトルをさらわれたが、4位でフィニッシュ。2週前に日本勢3番手まで後退した世界ランクも2番手に上がった。

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■2年連続の頂点で五輪切符視界

2年連続の年間女王に輝いた山下美夢有(撮影/和田慎太郎)

23年11月、山下が国内ツアー「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」を連覇して2年連続の年間女王に輝いた。初めて日本勢1番手となった6月19日付の世界ランクは自己最高17位を記録。前シーズンに続く5勝を挙げ、パリ五輪圏内で同年を終えた。

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■あえて“公言” スタートダッシュ

オリンピックイヤーの24年に好スタートを切ったのは古江。稲見との代表争いに敗れて悔し涙を流した前回から、パリ五輪出場の目標を公言してスタートダッシュ。序盤5試合で4度のトップ10入りと米ツアー2勝目の予感を漂わせる戦いぶりでランキングを上げた。

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■日本勢初メジャー2勝目で“当確”

2024年「全米女子オープン」で日本勢初のメジャー2勝を挙げた笹生優花(撮影/村上航)

6月、笹生が「全米女子オープン」で2021年以来の大会2勝目。米ツアー本格参戦後の初優勝をビッグタイトルで飾り、世界ランクも日本勢4番手の30位から一気に6位まで浮上。フィリピン代表として出場した東京五輪から2大会連続出場を確実なものとした。

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■ラストチャンスで4番手から大逆転

7度目のメジャーで自己最高2位フィニッシュ(撮影/村上航)

圏内入りへのラストチャンスとなる6月「KPMG全米女子プロ」で、世界ランク4番手(22位)につけていた山下が2位フィニッシュ。古江と畑岡を抜き去るランク19位で2番手に浮上し、大逆転でパリ五輪出場を決めた。笹生10位、山下19位、古江20位、畑岡24位で決着。同大会で古江は19位、畑岡は予選落ちだった。

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