繰り越した「通帳」の保管場所に困っています。処分しても問題ないでしょうか?

繰り越したあとの古い通帳はどのように処分するのか?

古い通帳は、基本的に取引に使うことはありませんので、ほとんどの場合は各自で処分できます。処分は以下のような方法があります。

__●燃えるゴミに出す
●銀行で処分してもらう
●不用品回収業者に依頼する__

一般的な処分の仕方は、シュレッダーにかけたりハサミで個人情報の部分をカットしたりしたのち、燃えるゴミで破棄する方法です。通帳には、氏名や住所、口座番号などの個人情報が明記されているため、油性ペンで塗りつぶすなどの作業が必要です。さらに通帳が捨ててあることが分からないように、新聞紙などで包むといいでしょう。

一方で、通帳の繰越時であれば、新しい通帳と引き換えに銀行で破棄してもらえることもあるようです。ただし、すべての銀行で破棄してもらえるわけではないようなので注意が必要です。さらに、繰り越しのタイミング以外に古い通帳を持ち込んで破棄してもらうことは難しいようです。

ほかには、不用品回収業者に依頼して処分する方法もあります。例えば、家族が亡くなり遺品整理する際に、まとめて処分してもらうなどです。なかには、不要な書類や通帳などをまとめて処分してリサイクルしてくれるサービスもあるようです。

状況によっては通帳を処分してはいけないケースもある

古い通帳は自身で処分してもいいことになっていますが、中には処分しない方がいいケースもあります。

ここでは、通帳を処分する際に注意が必要な2つのケースをご紹介します。

収入を把握する必要がある場合

ローンを組む際や、自営業やフリーランスとして働いている方(確定申告が必要な場合)は通帳を一定期間保管しておくことが推奨されています。保管期間の目安は以下の通りです。

__●ローンを組む予定のある方:1年ほど
●確定申告が必要な方:5~7年ほど__

ローンを組む際は、直近数ヶ月の通帳を提示する必要があり、収入を申告しなければなりません。対して確定申告が必要な方は、取引や経費の記録として通帳を保管しておく必要があるようです。

上記に当てはまる方は、繰り越し後もすぐに通帳を処分せず、一定期間保管しておきましょう。

相続税を申告している場合

家族が亡くなり相続税を申告する場合、手続きや税務調査に通帳が必要になる可能性があります。

通帳が手元にあれば、預貯金や証券の配当金などのお金の出入りを確認できます。しかし通帳を処分してしまっていると、入出金履歴の確認などに余計な費用がかかるおそれがあるのです。

故人の残高証明書や入出金取引証明などの発行にかかる手数料は、金融機関によって異なります。一回550円と定めているところもあれば、1ヶ月分で330円と期間によって手数料が変わる場合もあります。確認したい期間が長いほど、手数料が高くなるケースもあるため注意が必要です。

このように思わぬ出費を防ぐためにも、数年分の通帳は保管しておくと安心でしょう。

通帳の処分に悩まないためには「Web通帳」も選択肢の一つ

最近では、インターネット上でお金の管理や入出金の取引が可能な銀行もあります。その場合紙の通帳ではなく、Web通帳で取引明細や口座残高を確認できます。

株式会社アイリッジが行った「金融アプリ利用実態調査」によると、全体の7割はいずれかの銀行アプリを利用しているようです。銀行アプリを利用している方の「よく利用する・メリットを感じる機能」としていずれも7割以上が「明細や残高確認ができるところ」と回答しています。

Web通帳であれば、何十年もの取引履歴が確認できるため、通帳を繰り越す必要がありません。さらに、いつでも明細や残高を確認できるため、高い利便性が期待できます。通帳の処分や保管に悩む必要がなくなり、銀行に行く手間も減るでしょう。

Web通帳への切り替えは、無料であることが多いようです。ただし、Web通帳から紙の通帳に切り替える際には、手数料として1000円ほどかかるケースがありますので注意が必要です。

繰り越した古い通帳は処分しても問題ないが、必要になるケースもあるため慎重に!

繰り越したあとの古い通帳は自身で処分して問題ありませんが、ローンを組む際や遺産相続などに通帳が必要になるケースもあります。そのため、数年間分の通帳は保管しておくと安心です。

通帳の処分や保管に頭を悩ませたくない方は、Web通帳の利用も検討してみましょう。通帳を繰り越さなくても、インターネット上で数十年分の取引明細や現在の口座残高を確認できるため、わざわざ銀行に足を運ぶ手間が減るでしょう。

出典

株式会社アイリッジ 金融アプリ利用実態調査

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

© 株式会社ブレイク・フィールド社