「溶連菌」の感染が止まらない…患者が過去10年で最多 大人も要注意!手足の壊死・多臓器不全 死に至るケースも

溶連菌が原因の咽頭炎にかかる患者が岡山・香川で急増していて、流行が懸念されている。主に子供がかかる病気のイメージだが、大人も注意が必要だ。

「溶連菌と診断しない日はない状況」

A群溶血性連鎖球菌、いわゆる溶連菌。2日から5日の潜伏期間の後、喉の痛みや発熱、イチゴのようなツブツブした舌などの症状が現れる、5歳から10歳くらいの子供に多くみられる感染症の一つだ。

この溶連菌が原因の咽頭炎の患者が、過去10年と比較して最も多くなっている。

岡山市南区の小児科・すこやかこどもクリニックでも、溶連菌による症状を訴える患者がこの1カ月、特に増えているという。

すこやかこどもクリニック・江口直宏院長は「溶連菌と診断しない日はない状況が続いている。開業以来、こんなに(溶連菌の)患者が続くことはない」と現状を説明した。

江口院長は溶連菌の患者が急増した理由について、「コロナの間、感染対策を強化していたので、ほとんどの感染症が止まっていた。溶連菌に対しても免疫を持ってない人が増えて、1人患者がいるとその周りの人に広がっている」と推測する。

溶連菌は、せきやくしゃみなどの飛沫(ひまつ)や、手や食品などを介して細菌が口に入ることで感染する。予防には手洗いやせきエチケットなどが有効で、もし感染しても抗生物質を正しく飲むことで症状は改善される。

「(溶連菌は)決して珍しい病気ではないので、きちんと診断を受けて、言われた通りに抗生物質を飲むのが大事」だと江口院長は話した。

数十時間で死に至るケースも…

そしてこの溶連菌、今、大人も注意が必要だという。

岡山県疾病感染症対策課・松岡保博主任:
まれに重篤な病状を示す劇症型溶血性連鎖球菌感染症を引き起こすことがある。患者の多くは30歳以上の大人というのが特徴。

詳しい原因は分かっていないが、まれに傷口などから溶連菌が入り、手足の壊死(えし)や多臓器不全などが起こるとされ、その後、数十時間で死に至る劇症型溶連菌の報告も増えている。
30代以上に多くみられ、全国で過去最多、岡山でも既に2023年を上回る19人が発症、死亡者も出るなど感染が止まらない状況だ。

松岡主任は「初期症状は発熱や腕や足の痛みや腫れ。こうした症状があれば早めに医療機関を受診するのが重要」と警鐘を鳴らす。手洗い、うがいなど基本的な感染症対策が有効な溶連菌。あらゆる世代で注意が必要だ。

(岡山放送)

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