苦戦が続き負傷のジョコビッチに元世界4位ルゼツキー氏が「彼は再起の意欲を持って戻ってくる」と期待!<SMASH>

先日行なわれたテニス四大大会「全仏オープン」(フランス・パリ/クレー)でベスト8に進出するも、右ヒザの内側半月板損傷により準々決勝を試合前に棄権し、直後に同箇所の手術を決行した世界2位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)。今季はツアー優勝どころか決勝進出もなく苦戦が続いているが、1997年の全米オープンで準優勝を経験した元世界4位のグレッグ・ルゼツキー氏(イギリス/50歳)は、37歳の鉄人の再起に期待を寄せている。

四大大会で史上最多の24度もの優勝を誇るジョコビッチは、現状トップ30では最年長の選手であり、100位圏内まで広げても元世界3位のスタン・ワウリンカ(スイス/現93位/39歳)に次いで2番目に年齢が高い。これまで長期離脱はほぼなく、昨季は四大大会3勝を含む7つのツアータイトルを獲得。若手に引けを取らないパフォーマンスでファンを魅了し続けてきた。

それゆえに、今季のジョコビッチにはどうしても物足りなさを感じてしまうが、早期敗退が目立つかと言われればそういうわけではない。1月の「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/四大大会)、4月の「モンテカルロ・マスターズ」(モナコ・モンテカルロ/ATP1000)、5月の「ジュネーブ・オープン」(スイス・ジュネーブ/ATP250)の3大会でベスト4に進出。冒頭の通り先の全仏オープンでは8強入りし、調子が上がれば以前のような強さが戻りそうな雰囲気はある。

そんなジョコビッチの現況を踏まえ、ルゼツキー氏は最近出演した海外メディア『Tennis Channnel』のポッドキャストで自身の考えをこう口にした。
「彼は全仏でいいプレーをしていたし、私自身はノバクを軽視するつもりはない。ノバクがあと2~4年ほどプレーしたいなら、何があろうと彼を甘く見てはいけない。今回のヒザのケガは深刻なものではなく単なる不運だ。彼はおそらく私が今まで見た中で最も規律正しく、最高のアスリートだと思う。そう言えるほど優れた選手だ」

先日「ノバクの代理人と話をした」というルゼツキー氏によれば、ジョコビッチは「もっと長くプレーしたい。テニス界のトム・ブレイディ(アメリカ/元NFL選手/45歳で引退)になりたいと言っていた」という。同氏は男子ツアーを長らくけん引してきたテニス界のスーパースターにエールを送る形で、改めて次のように語った。

「確かに、今年は彼にとっては素晴らしい年ではないが、昨年は四大大会3つを制したし、ウインブルドン(イギリス・ロンドン/芝)でも決勝に進出したことを忘れてはならない。5カ月ほど思うようなプレーができず、今はケガもしているから、みんな彼のことを諦め始めているが、私はそうではない。

彼は再起の意欲を持って戻ってくると思う。もし彼がまだハングリー精神を持ち、家族と共にツアー転戦を楽しむ姿が見られれば、その時は要注目だ」

なお、ジョコビッチは来週開幕する「ウインブルドン」(7月1日~14日)の会場にて、すでに練習を開始しているという。ただし出場可否についてはまだ明らかにしていない。

文●中村光佑

© 日本スポーツ企画出版社