電動キックボードのLUUP、違法走行を点数制で厳罰化。岡井代表「違反者をかばうつもりはない。しっかり学ぶか使わないでもらうか」

by 編集部:白江ちなみ

2024年6月25日 発表

道交法改正から約1年を経て「LUUPの安全・安心アクションプラン2024」発表

Luupは6月25日、道交法改正から約1年が経過するのを前に新たな「LUUPの安全・安心アクションプラン2024」を発表した。登壇したのは同社代表の岡井大輝氏。

電動キックボードをはじめとする電動小型モビリティの登場を受け、車両区分を新しく定めた改正道路交通法は2023年7月1日に施行。これら車両のシェアリングサービス「LUUP(ループ)」を展開している同社では、この1年でLUUPのポート数、利用者数、ライド数が増加。2024年6月時点、東京・大阪・横浜・京都・宇都宮・神戸・名古屋・広島・仙台・福岡の10エリアでサービスを提供し、全国のポート数は8200か所。提供車両台数は電動キックボードと電動アシスト自転車を合わせて2万台を超えた。

買い物やちょっとしたお出かけ、通勤・通学の脚として、あるいは公共交通機関の補完として気軽に使える電動キックボードが“短距離移動インフラ”として身近な乗り物になりつつある一方で、一部の利用者による悪質な違法走行も発生している。同社では現状、利用前に「交通ルールテスト全問連続正解・満点合格」「年齢確認書類の提出」を義務付け、講習会・ルール啓発など安全対策を講じてきたが、違法走行の多くが信号無視や通行区分違反といった基本的な交通ルール違反であることも見えてきた。

これらを踏まえ、電動小型モビリティの社会実装を安全・安心に加速していくための4つの取り組みを開始する。

LUUPの安全・安心アクションプラン2024

〈1〉 交通ルールの理解・浸透度合い、啓発活動の認知度調査
〈2〉 交通違反点数制度による違反者の厳罰化推進
〈3〉 ヘルメット着用推進に向けた取り組み
〈4〉 安全な走行をサポートする「ナビ機能」の全国展開

1つ目は、利用者向けアンケートを定期的に実施することで、交通ルールの理解度向上を計測していくもの。改正道交法の施行から1年を機に行なったアンケートでは「電動キックボードの交通ルールはどこで覚えましたか。※複数選択可」という問いに対し、LUUPの交通ルールテストを通して学んだという回答が大多数(84.4%)を占めた。このようなアンケートを通じて、初心者向けガイドブックなどその他学習コンテンツをより効果的に届ける方法を探っていく。

2つ目は、悪質な違法走行に対し罰則を課す新制度について都内での試験導入を経て全国に展開していく。軽微なものを含めすべての違反点数が加算されていき、一定に達するとアカウントが30日間凍結。30日間の利用停止期間を経たうえでその後1年以内に一度でも違法走行で取締りを受けると、当該利用者は無期限でLUUPの電動キックボードには乗車できなくなる。飲酒運転やひき逃げ・当て逃げなどの重大な違反に関しては、一度の取締りで無期限凍結となる(警察庁公表のデータによると、改正道交法の施行からこの1年間で特定小型原動機付自転車に位置付けられる電動キックボードの関連死者数は0名)。

3つ目は、ヘルメット着用を促すキャンペーンやイベントの実施。2024年「春の全国交通安全運動」にあわせ抽選100名にプレゼントしたLUUPオリジナルデザインの“折りたためるヘルメット”が好評だったことを受け、今年中には大手ECサイトなどで販路を構築する予定としている。

4つ目は、電動キックボードの安全走行をサポートする“推奨ルート”をスマホアプリで示すというもの。LUUPアプリでは4月からすでに「NAVITIME API」の自転車ルート検索機能を活用し、歩道・歩道橋を選択肢に入れずに“車道のみを走行する道順”をナビする機能をiOS版向けに試験提供している。「自分が利用するルートでは、大通りを避けて交通量の少ない道が案内されるようになり、走行しやすくなった」といった利用者のフィードバックを得られていることも踏まえ、対応エリアを全国に拡充していく。

LUUPの安全・安心アクションプラン2024
交通ルールの理解・浸透度合い、啓発活動の認知度調査
交通違反点数制度による違反者の厳罰化推進
ヘルメット着用推進に向けた取り組み
安全な走行をサポートする「ナビ機能」の全国展開

またこの日の会見では、電動アシスト自転車、電動キックボードに続くLUUPの新車両「電動シートボード」も初公開された。これまでシェアリングサービスになかった“座席・カゴ付き”の特定小型原付で、足腰に不安がある人でも走行しやすく、幅広い年齢層に対応するデザインとなっている(2024年冬以降、導入予定)。

LUUPの新車両「電動シートボード」(開発中)

岡井代表は、「LUUP利用者が交通ルールを守ることが一番大事だが、歩行者やクルマのドライバーといった非利用者にも、どういう乗り方が正しい特定小型原付ユーザーであり、どういう乗り方が違反者であるかを社会全体で知ってもらうことが安全につながる」と話す。

また、新しい取り組みの交通違反点数制度については「違反者をかばうつもりはない。違反者にはしっかり学んでいただくか、LUUPを使わないでいただくしかない。それくらい厳しくやっていく」と強調。

「街のインフラとして認められるにはまだまだ道なかば」であり、今後も実効性の高い対策や改善点のアップデートを行ないながら「LUUP利用者とLUUPのある街に暮らすすべての人の安全・安心を目指していく」とした。

株式会社Luup 代表 岡井大輝氏

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