【2歳馬ジャッジ】トータルクラリティのラスト2F11秒4-10秒9を評価 ハッピーマンも今後楽しみな存在

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6月3週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は芝でトータルクラリティ、ダートではハッピーマンと各路線で楽しみな馬たちが出た、6月15日、16日の2歳戦について指数と評価を掲載する。

6月15日(土) 東京5R 優勝馬 ショウナンマクベス 指数-1 評価B
4番枠から好スタートを決め、気合をつけてハナへ。やや行きたがっていたが、鞍上の岩田康誠騎手がしっかりと折り合いをつけた。外からミンストレルソングにピッタリとマークされ楽な展開ではなかったが、半馬身差のリードを維持して最後の直線へ。直線序盤で馬場の良い中目に誘導したが、そこで内からも迫られた。失速してしまうかと思われたが、ラスト1Fで再び伸びて、ミンストレルソングを引き離した。最後は外差し勢が襲いかかってきたが、振り切って半馬身差で勝利した。

芝1600mの走破タイムは1分35秒6、上がり3Fタイムは34秒2、ラスト2F11秒3-11秒5。どれも強調できるほどの数字ではない。よって指数は高いものとはならなかった。

しかし、徹底マークを受けて、最後は二枚腰を見せたレース内容から着差以上の強さを感じさせた。またこの馬の本質が差しだった場合、逃げたことで能力を出し切れなかった可能性もある。今回の指数は平凡だったが、次走以降に真価を問いたい。

6月15日(土) 東京6R 優勝馬 クレーキング 指数-5(ダート) 評価B
2番枠から五分のスタート。外の馬たちの方が勢いはあったが、気合を付けると加速が付いて、好位の最内を確保。道中は逃げ馬とのスペースを維持して2列目の最内を追走した。3~4角でスペースを詰め切ったため直線序盤で進路がなく、これはピンチかと思われた。しかし、ラスト2Fで進路が開くと一気に抜け出して先頭に並びかけ、ラスト1Fで突き抜けて3馬身半差の完勝だった。

指数はこの時期の2歳ダートとしては悪くない。また最後の直線で追い出しを待たされたことを考慮すれば、今回の走破タイム以上に奥がありそう。次走以降の成長が楽しみだ。

6月16日(日) 東京5R 優勝馬 プリティディーヴァ 指数-2 評価B
9番枠から好スタートを決めて、二の脚もついたが、内のアンジュオスリールを行かせて2番手の外を追走。3角手前ではアンジュオスリールと半馬身差。絶好の手応えで3~4角を回り、直線序盤ではいつ抜け出すかといった体勢だった。ところがアンジュオスリールがなかなか止まらず、外からはダノンブランニューも迫ってきた。ラスト2Fで上位3頭が後続を引き離しての追い比べに。ラスト1Fでも3頭のせめぎ合いは続いたが、最後にグイッと伸びて本馬が接戦を制した。

走破タイムは1分22秒1、上がり3Fタイムは34秒5、ラスト2F11秒4-11秒7とまずまず。そこまで高い指数とはならなかったが、このレースは上位3頭で4着以下に4馬身の差をつけている。このような着差構成の上位馬は、数字以上に強いことが多い。3頭とも今後の成長に期待したい。

6月15日(土) 京都5R 優勝馬 ハッピーマン 指数-9(ダート) 評価A
8番枠から出遅れたが、そこから加速して好位列の中目の後ろまで巻き返した。道中は序盤の加速がつきすぎて、そこから抑えたのでやや折り合いを欠いたが、流れに乗ってからはスムーズだった。3~4角では砂を被りながら好位の中目まで上がり、直線序盤で外に誘導された。追われると手応え良く一気に先頭に並びかけ、ラスト1Fで突き抜けて2着に3馬身半差、3着に7馬身差をつけて圧勝した。

上がり3Fタイムの36秒8は、同日3Rの3歳未勝利戦を8馬身差で勝利し、1クラス上の指数を記録したゼンカイパイロと同等の数字。2歳新馬戦としてはかなり優秀なタイムだ。

ラスト2Fは12秒5-12秒4。ダート新馬戦で最後まで加速したことは高く評価できる。スタート後のロスを考慮すれば、今回の指数以上に強いと評価できる。今後かなりの活躍が期待できる。

6月16日(日) 京都5R 優勝馬 トータルクラリティ 指数-3 評価AA
大外10番枠から好スタートを決めたが、促されてもそこまで進まず、好位の外を追走。前3頭を追いかけるようにして進めていたが、道中のペースが上がらないので楽な手応えで2列目の外まで上がった。3~4角でもコントロールし、4角出口で仕掛けて2列目の外で直線へ向いた。直線序盤で追われると1馬身はあった先頭列との差をすっと詰めて、先頭のラトラースとはクビ差。ラスト1Fで抜け出しかけた同馬をしっかり捉えて半馬身差で勝利した。

例年と比較して今年の2歳芝新馬戦は緩みないペースで進むレースが多かったが、このレースは前半3Fが37秒0、5F通過が62秒4の新馬戦らしいスローペースとなった。

そうなると最後は瞬発力比べになり、ラスト2Fは11秒4-10秒9。以前なら即GⅠ級と断言できたレベルの数字だが、映像を見るとやはりそこまでの加速感はない。以前に均すとラスト1F11秒2か11秒3くらいの加速感だろうか。ただ、いずれにしても新馬戦で最後に急加速してゴールしたことは評価できる。重賞戦線で楽しみな馬になりそうだ。

6月15日(土) 函館5R 優勝馬 ヴーレヴー 指数-4 評価B
2番枠からまずまずのスタート。外のラピッドグロウスの方が速かったので控えるかとも思われたが、気合いを付けると加速がついてハナを奪取した。道中は後続を引き離して緩みないペースで逃げた。3~4角で息を入れたことで後続が迫ってきたが、手応え十分に1馬身半差のリードで直線へ。最後までその差を維持したまま逃げ切った。

走破タイムは1分9秒2。これは同日1Rの3歳未勝利戦よりも速い。この日の函館芝は後半に向けて徐々に時計が掛かっていく状態だったので、1Rの3歳未勝利戦が相対的に低レベル決着だったことになる。この新馬戦はそれなりに高く評価でき、指数は函館1週目の新馬戦2鞍よりも上となった。

ラスト2Fは11秒5-11秒7。そこまで余裕を感じさせる数字ではないが、逃げて初戦を勝利した馬は次走で大きく上積みを見せることもある。昇級即通用となるかは現時点では判断できないが、早期デビューの利で使われながらの活躍が期待できそうだ。

6月15日(土) 函館6R 優勝馬 リリーフィールド 指数-14(ダート) 評価A
7番枠から五分のスタートだったが、そこからダッシュがついてハナ奪取に成功。3~4角で後続との差を広げ、1馬身差のリードで直線へ。そこからじわじわ引き離して2着に6馬身差、3着馬に11馬身差をつけて圧勝した。本馬はキビキビとしたフットワークでいかにも短距離のダートが合いそうなタイプだ。

走破タイムは59秒0。これは同日の古馬1勝クラスの勝ちタイムと同じ。当然、指数も1クラス上のレベルという、かなり優秀なものとなった。

芝、ダートともに1000m戦で好指数を記録する馬は鞍上が減量騎手であることが多いが、今回は武豊騎手だけに価値は高い。ただ今回はあまりにも強すぎたので、疲労が残る可能性がある点は懸念材料。疲れなく、レースを順調に使っていけるようになれば、かなり出世が期待できそうだ。

6月16日(日) 函館5R 優勝馬 ニシノラヴァンダ 指数-4 評価B
5番枠からトップスタートを決めて、楽に先頭に立った。道中で外からワイルドブッターが掛かり気味に上がって並ばれたが、抵抗してハナを譲らず、1馬身差のリードで3角へ。4角で再びワイルドブッターに迫られたが、直線序盤で追われると2馬身差までリードを広げ、ラスト1Fではさらにリードを広げて4馬身差で圧勝した。

この新馬戦の前半3Fは34秒1。ニシノラヴァンダとワイルドブッターが競り合ったことで、同日2Rの3歳未勝利戦と同等の速いラップを刻んだ。走破タイムの1分9秒3は同日2Rよりも速く、ある程度は高く評価できる。

指数は前日のヴーレヴーが勝利した新馬戦と同等となった。逃げて勝利した点もヴーレヴーと同様だ。よって懸念点、今後に向けても現時点では同じような評価となる。順調に使われれば、なかなかの活躍を見せてくれる馬となりそうだ。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)トータルクラリティの指数「-3」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.3秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。



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