「年金のみで生活している世帯」は半数以下? 夫婦高齢者世帯の家計収支事情とは

高齢者世帯の所得状況

厚生労働省が公表している2022年の国民生活基礎調査の概況(対象年は2021年)によると、1世帯あたりの平均所得額は表1の通りです。

表1

※厚生労働省「2022年(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」を基に筆者作成

高齢者世帯は318万3000円となっており、全世帯と比べると200万円程度低い状況にあるようです。

高齢者世帯の所得における年金の割合

同調査によると、高齢者世帯の所得における公的年金は62.8%と高い割合となっています。さらに、公的年金を受給している高齢者世帯のなかで、公的年金が総所得となっている世帯の割合は44%とされているようです。

総所得に占める割合が80%〜100%の世帯も含めると60.5%となり、半数以上の高齢者世帯は年金で暮らしていることが分かります。

高齢者世帯の貯蓄状況

高齢者世帯の貯蓄額とその割合もみると、1000万円以上の貯蓄がある割合は37.2%となっています。金額の内訳を確認すると、貯蓄が3000万円以上ある方の割合が14.0%、次いで1000万〜1500万円が9.2%、2000万〜3000万円が8.7%とされています。

高齢者世帯に関しては、全世帯や子どものいる世帯などよりも比較的貯蓄額は多い傾向にあるようです。

高齢者世帯の収支状況

総務省の2021年の家計調査によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における毎月の支出は25万5100円となっています。年金を含む社会保障給付が21万6519円であるため、年金収入などだけで生活していくとなると毎月4万円程度は不足する見込みです。

仮に1000万円の貯蓄があれば、20年程度は年金と貯蓄だけで生活できる可能性がありますが、貯蓄が十分にない場合はほかの対策を考える必要があるでしょう。

老後資金対策としてできること

もし、将来年金だけでは老後資金を賄えない状況であれば、不足分を補うための対策が必要です。対策としては、以下のような方法が考えられます。

__●毎月の支出を見直す
●働いて収入を得る__

毎月の支出を見直して節約できる部分がないか確認してみましょう。特に水道光熱費や通信費などの固定費を節約できれば、継続的に費用をおさえられ、節約効果が大きいと考えられます。

また、体が健康で問題なければ、働いて収入を得ることで不足分を賄えます。不足分を賄う目的であれば、それほど長い時間働かなくてもよい可能性もあるため、自分のペースで無理なく働けるでしょう。

生活費が年金だけの世帯の割合は4割程度。夫婦無職世帯で年金だけでは毎月4万円程度不足する可能性がある

高齢者世帯の所得における公的年金の割合が6割程度となっています。そのなかでも、公的年金が総所得になっている割合は4割程度とされているようです。

また、65歳以上の夫婦無職世帯における毎月の支出は、年金を含めた収入額よりも4万円程度上回っています。不足分を賄えるくらいの貯蓄があれば問題ありませんが、十分な貯蓄がない場合は支出の見直しや働いて収入を得るなどして、不足分を賄う必要があるでしょう。

出典

厚生労働省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況(9、11、12ページ)
総務省 家計調査報告【家計収支編】2021年(令和3年)平均結果の概要 Ⅱ 総世帯及び単身世帯の家計収支 (2) 単身世帯の消費支出は実質3.3%の増加となり、4年ぶりの実質増加 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2021年- (18ページ)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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