ベットが動く?甘えてくる?ゴム人工筋肉で『何もしない』を提供する「Morph inn」

目的を持たずリラックスできる空間『無目的室』を提供する展示「Morph inn」。東京都表参道で2024年5月17日〜25日に開催された。

「Morph inn」での体験は、クッション型の「Morph」と布団型の「Morph ミニ」を組み合わせたベット型のソフトロボットに寝転がること。「Morph」と「Morph ミニ」にはゴム人工筋肉が使われ、空気圧で動作する。

動物の呼吸や潮の満ち引きといった、自然界に存在する動きを映像から抽出してデータ化。その動きをランダムに人工筋肉に伝えることで、有機的な刺激を体験者に伝える。

筆者が体験してみたら、「Morph」からは生き物の鼓動のような定期的で微弱な振動が、「Moph ミニ」からは何かが擦り寄ってきて、甘えられているような動きを感じた。「Morph」と「Morph ミニ」で刺激の系統が異なり、刺激の強弱もランダムでいて何か規則性があるような不思議な感覚があった。

マッサージのようにただリラックスするのではなく、落ち着きつつもどこか意識が覚醒させられるような体験だった。

不思議な動きを生み出しているゴム人工筋肉は、ブリヂストンのタイヤで培われた技術が活用されている。

「Morph inn」の主催者である株式会社ブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズはブリヂストンの社内ベンチャー。他にも、ロボットハンドなどゴムの技術を活かした『柔らかいロボット』の開発を行なっている。

我々の生活に直結するような身近な技術が、思いもよらぬ分野に活用されている。いつも当たり前に使っている物や技術でも、見方を変えることで違った使い方ができるかもしれない。

Toshiki Inagaki

Morph inn

ブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズ

© 株式会社朝日新聞社