日々の暮らしをSNSで発信するベトナム人女性 23万人がフォロー 母国と宮城県の懸け橋に

SNSで動画を配信し人気を集めている、宮城県岩沼市に住むベトナム人女性です。同郷の人たちの相談にものりながら、日々の暮らしの様子を伝えています。

ベトナム語で料理を紹介する動画の再生回数は、多いもので約400万回です。「おいしそう」「あなたの動画が大好き」といったコメントが寄せられています。
自分の畑で取れた野菜料理をはじめ、農作業や子育てなど飾らない日常を写した動画がベトナム人に注目を集め、フォロワーは23万人にも上ります。

発信しているのは、宮城県岩沼市で暮らす女性です。ベトナム人のブイ・ティ・ゴック・トゥイさん(37)と、農事組合法人を経営する夫の村上和之さん(52)はこの日、家族と従業員のために昼食を準備する様子を撮影していました。
トゥイさん「ベトナム調味料、結構色々入っている。タマネギとニンニクをいっぱい入れると肉の味甘くて香りがあります」
村上和之さん「ヘルプが必要な時はお手伝いするんですけど、大半は彼女1人で全部やっている感じですね。仙台市でもベトナムの店に行くと写真撮ってって言われて、僕たちまで写真撮られてます」

日々の暮らしを発信

トゥイさんは3年ほど前から独学で動画制作を始め、最初はベトナムにいる家族に日本での暮らしを見せるためでした。今では家事や農作業の合間を縫って、ほぼ毎日10分前後の動画を制作し投稿しています。
トゥイさん「YouTubeを見て勉強しました。慣れたらおもしろいですよ」

ベトナム南部のドンナイ省出身で日系企業で働いていたこともあるトゥイさんは、農業の仕事でホーチミンに滞在していた村上さんと7年前に結婚して来日しました。
トゥイさん「日本に来て初めて冬を過ごしてびっくりしました。寒い。ルールは色々違いますから、合わせて勉強して慣れます。慣れるしかないね」

和之さんの法人では50ヘクタールの農地で、もち米を中心にネギやトウモロコシなどを栽培しています。大型の農業機具やドローンなどの先端技術を使った大規模な農業がベトナムでは珍しく、動画が注目を集める一因となっています。
トゥイさん「(動画の反響は)私も嬉しいですよ。本当に日本はきれいです。ベトナム人たちに見せてあげたいです」

宮城県で暮らす外国人2万5000人のうちベトナム人は中国人に次いで2番目に多い4400人で、岩沼市にはそのうちの約280人が暮らしています。その多くは工場などで働く技能実習生です。

多くのメッセージが

SNSには、トゥイさんを頼って多くのメッセージが寄せられます。岩沼市に住むベトナム人女性からは、給料を払ってもらえないという相談が寄せられました。トゥイさんだけで解決できない時は、夫の村上さんも協力し自治体などの窓口を紹介します。

相談してきたベトナム人がコロナ禍で帰国しなければならなくなった時には、PCR検査を受けられる病院を探したり空港行きのバスを予約したりもしました。
トゥイさん「こっち来てみんな色々困っていることもあるから、みんな研修生だから誰も面倒見てあげないから」

長男の大和くん(5)は、間もなく弟ができてお兄さんになります。この日は、トゥイさんの自宅に3組のベトナム人親子が遊びに来ていました。子どもたちが0歳の頃から交流を続けている子育て仲間です。
母国を遠く離れ子育てをする母親たちにとって、日々の困りごとから進路まで何でも話せる時間は貴重です。
トゥイさん「子どももそろそろ小学校に入るのでどちらの学校がいいとか、そういうことを話しています」

中には動画をきっかけに知り合った人もいます。
「トゥイさんは料理を作りながら、子どももだから素晴らしいなと思います」「なかなか自分の国も帰れなくて、ここでトゥイさんが作ってくれて懐かしいなとかすごいうれしいですね」
トゥイさん「(みんな)私が本当に農業やるか信じられない、普通はベトナムはこんな若い人はあまり農業やってないね」

子育てや仕事との両立を目指すトゥイさんは、ベトナムの人たちと交流しながら動画投稿を続けていきたいと話します。
トゥイさん「どんな仕事にも大変なことはあります。自分はやりたいことは頑張ってやって諦めないで続けて絶対良い結果があります」

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