『オド×ハラ』1年で打ち切り……オードリー・ハライチ・佐久間という“期待値”

25日、フジテレビの木曜21時に放送されているバラエティ番組『オドオド×ハラハラ』が今年9月をもって終了すると報じられた。昨年10月のスタートから、わずか1年での打ち切りとなる。

オードリーとハライチをメインMCに迎え、元テレビ東京の佐久間宣行プロデューサーが演出を務めた同番組。昨年6月の単発特番ではコア視聴率で同時間帯トップの数字をたたき出すなど大きな話題を呼んだが、レギュラー化された以降は数字を伸ばせず、最近では世帯視聴率2%前後(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と奮わなかった。

『オド×ハラ』は、オードリー、ハライチ、佐久間氏それぞれにとって念願の番組だった。

2020年、ハライチの単独ライブ『けもの道』にオードリーがゲスト出演。初となる4人でのトークは大いに盛り上がり、その後のラジオで互いに“相性の良さ”を語っていた。

佐久間氏にとってオードリーの若林正恭は「芸人で唯一、飲みに行く仲」であり、19年からテレビ東京で冠番組『あちこちオードリー』をスタートさせ、今年で5年目を迎えている。

その『あちこちオードリー』が21年8月に行ったオンラインイベントには単独ゲストとしてハライチが出演。アーカイブ視聴を含めて8万枚を売り上げている。

同じ21年には佐久間氏のプロデュースでハライチ初となる冠番組『ハライチのYAMi』がネット配信の「smash.」で制作されている。

オードリー×ハライチ×佐久間宣行、その組み合わせはいずれも好評を博した。オードリーファンにとってもハライチファンにとっても、「佐久間こそ、もっとも彼らをおもしろくしてくれる」という評価は固まっていた。

23年1月からはハライチをMCとしてフジテレビ昼の帯番組『ぽかぽか』が始まっている。

同年3月には、オードリーが東京ドームでのライブ開催を発表している。

『けもの道』でのセッションから3年、2組ともステージをひとつ上げていた。『オドオド×ハラハラ』はまさに満を持して、盤石の体制でのスタートだったはずだ。

初回の世帯視聴率は3%。企画の独自色は回を追うごとに薄れていった。それでもまさか、毎週誰かの豪邸を訪問するだけの番組になって1年で打ち切られるとは、想像もしていなかった。

少なくとも、昨今の『オド×ハラ』は、メイン出演者のファンに強く訴求する番組ではなくなっていた。“別の番組での彼ら”のほうが、ずっとおもしろかった。

22年1月の『あちこちオードリー』で若林は「ゴールデン覇王を目指す」と明言した。そして『オド×ハラ』スタート前の23年7月には、『パンサー向井のチャリで30分』(ニッポン放送)に出演し、「ゴールデン覇王はあきらめた」と語っている。

『オド×ハラ』の何が悪かったのか、原因は単純ではないだろう。そもそもゴールデンでの成功だけが芸人や作りてにとっての理想の道という時代でもない。

今はただ、あのとき抱いた期待をそっと心に仕舞い込むことしかできないのである。

(文=新越谷ノリヲ)

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