「おじいちゃんがディープインパクト」全財産を使い「引退馬の老人ホーム」となる牧場を完成させた元自衛官の思い【岡山】

みなさんは競走馬のディープインパクトを覚えていますか?そのディープインパクトの血をひく馬など、引退した競走馬を受け入れている牧場が瀬戸内市にあります。牧場を作ったのは元海上自衛官の男性。運営は厳しいということですが「安心して過ごせる余生を」と馬を受け入れる思いを取材しました。

(野﨑啓明さん)
「この子がね、うちのアイドルのトントントントロちゃんになります。おじいちゃんディープインパクトなんですよ、お父さんがスピルバーグっていう、天皇賞勝った馬ですね。優しすぎて10戦0勝で一回も勝てなかったんですよ、競馬場をクビになって、行く当てがなくなって、なんだかんだでうちに来たという」

こう話すのは野﨑啓明さん、40歳。野﨑さんが瀬戸内市牛窓町で飼育する4頭の馬は、かつては競走馬としてレースに出ていた馬です。

(野﨑啓明さん)
「引退した馬、頑張った馬を、最後「ご苦労さま」みたいなところをつくりたいなと」

高校卒業後、海上自衛官となった野﨑さん。しかし、23歳のとき父親の死を機に、地元・岡山に帰り会社員として働く中で、競馬の魅力を知り、気が付くと乗馬クラブでアルバイトをするほど馬にはまっていたといいます。

しかし、そこであることを知ります。
(野﨑啓明さん)
「引退して最後まで面倒見るのはむずかしかったりとか、人を乗せられなくなった馬は出ていかなければいけないなというのはあるんですけど」

怪我や老化などで引退した競走馬は、乗馬クラブになどに移った後、最後は、多くが食肉用に回される…。
野﨑さんに湧いたのは「人のために働いてくれた馬に、ゆったりとした老後をプレゼントしたい」という感情でした。

そして、おととし全財産を使い、自らの手で「引退馬の老人ホーム」となる牧場を完成させたのです。

(野﨑啓明さん)
「ぶっちゃけた話でいうと、頑張っても報われない世界というのが、乗馬だったり競走馬の世界なんですよね。でも、やっぱり少しでもこういう牧場とかができれば、頑張った子も報われるというか、ゆっくりしてもらいたいな」

野﨑さんは、あと4頭迎え入れたいと考えています。しかし、年間飼育費は一頭あたり約100万円。エサや小屋の建設費などに必要な資金を、現在クラウドファンディングで募っています。

(野﨑啓明さん)
「ここご飯、サラダバーです。馬が不安なく穏やかに暮らせる牧場がいいかなと。僕は、本当に馬を100%穏やかにしていれば、いろんな方に来ていただいて癒しスポットではないですけど、馬の魅力を伝えていけたらと思いますね」

多くは受け入れられないものの、少しでも競争馬が余生を安心して過ごせる牧場を。クラウドファンディングは、専用のHP「キャンプファイヤー」で来月(7月)31日まで募っているということですエサや小屋の建設費などに必要な資金を、現在クラウドファンディングで募っています(https://camp-fire.jp/projects/view/769842)。

© RSK山陽放送株式会社