「要約筆記者」県内で希望者が激減

聴覚障害者に話の内容を要約して伝える「要約筆記者」の希望者が群馬県内で激減し、県の養成施設では危機感を募らせています。

知事会見では毎回、文字放送のライブ配信が行われていますが、「要約筆記者」が2人1組となって会見での言葉をパソコンに入力し、1つの文にして伝えています。県内には現在66人が登録されていますが、新しい担い手の確保が課題となっています。

要約筆記者になるために必要な講座の県内における受講者の推移です。

2019年度に一度落ち込んで以降、コロナ禍も相まって受講者の数が戻っていないということです。

2024年4月から障害者への「合理的配慮」の提供が民間事業者にも義務化され、ニーズの高まりが予想されるなか「要約筆記者」の養成を行う県の施設では危機感を募らせています。

「要約筆記者というのは、黒子のような存在で中々皆さんの目に触れることが無いものですから、周知されることが難しかったというのがありますね。」(県聴覚障害者コミュニケーションプラザ 五十嵐真奈美 要約筆記者)

「要約筆記者」が活躍するのは、知事会見以外にも企業の会議や大学の授業、医療機関での受診など様々です。パソコン入力のほかにノートに手書きして伝えたりスクリーンに映し出す方法があります。

自身も要約筆記者という施設の職員は、その意義を次のように話します。

「聞こえない、聞こえにくい方の耳の代わりに私たち要約筆記者が期待されていると思います。要約筆記者が増えることで利用する方も利用しやすい環境が整ってくると思います。」(五十嵐さん)

要約筆記者になるには、全国統一認定試験に合格する必要があり、合格率はおよそ3割と狭き門です。

「県聴覚障害者コミュニケーションプラザ」では、少しでも興味を持ってほしいと初心者向けのセミナーを7月2日に開く予定で、県民に広く参加を呼びかけています。

「関心を持っていただけるような内容にしておりますので、まだ要約筆記を知らない方でも、少しでも関心をお持ちでしたら参加してもらえると良いかなと思います。」(五十嵐さん)

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