パナソニックのナノイー、過敏性肺炎の病原菌に殺菌効果

by 河原塚 英信

ナノイーの、過敏性肺炎の主な原因菌に対する殺菌効果を確認

パナソニックは、過敏性肺炎の主な原因となるカビであるトリコスポロンに対して、ナノイー(帯電微粒子水)が有効な殺菌効果を持つことを確認したと発表した。

ナノイーは、霧化電極をペルチェ素子で冷却し、空気中の水分を結露させて水を作り、霧化電極と向き合う対向電極の間に高電圧を印加することで発生させている。ナノイーのOHラジカルを含む大きさは、約5~20nm。同社は現在、ナノイー発生器を空気清浄機やエアコンなど様々な家電製品に搭載している。

また今回重視した過敏性肺炎は、カビが空気中に放出する胞子を繰り返し吸い込むことで、発症する病気。今回は、その過敏性肺炎の主な原因となるカビ、トリコスポロンに対する効果検証を行なった。そして99%以上の殺菌効果を確認。これまでの検証結果とあわせて、過敏性肺炎の原因の7割を占める病原カビ3種に対する、ナノイーの殺菌効果を証明できたとした。

検証したのは、一般財団法人 北里環境科学センター。45Lの試験空間に、トリコスポロン、クロカビとカンジダの入ったシャーレを設置。そこにナノイー発生装置を設置し、ナノイーを照射した後に、生菌数と走査型電子顕微鏡による形態観察を実施したという。

45Lの試験空間で検証

ナノイーを照射したトリコスポロンの生菌数を確認した結果、99%以上の殺菌効果を確認。また、形態観察の結果、細胞壁破壊と内容物の漏出による殺菌メカニズムが作用していること、つまりは殺菌効果を確認できたとする。

検証対象とした、過敏性肺炎の原因の7割を占める病原カビ3種に対する殺菌効果を確認
電子顕微鏡で観察した病原カビのトリコスポロン。左はナノイーを照射していない状態で、右はナノイーを照射後の様子。形態に変化があることが分かった
さらに拡大して観察。下がナノイー照射後の様子で、細胞壁が破壊され、内容物が消失していることが確認できたという

今回の調査と検証を監修した、大阪公立大学の名誉教授、向本雅郁さんは、「(過敏性肺炎の病原)カビの増殖を、ナノイーが抑えることで、過敏性肺炎の対策の1つの手段として、今後大きな期待が持てると考えております」と語った。

調査と検証を監修した、大阪公立大学の名誉教授、向本雅郁さん

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