鹿児島産を神戸牛と偽装「一定の常習性」 神戸市が食肉卸を行政指導 「個体識別番号」も使い回す

神戸市役所=神戸市中央区

 異なる原産地や牛種を表示して牛肉を販売したとして、神戸市は25日、同市北区赤松台1にある食肉卸業者「神戸畜産」を食品表示法に基づき行政指導した。

 市によると、同社は外食事業者やインターネット通販事業者に食肉を販売。昨年1~3月、鹿児島県産黒毛和種の牛肉計1.36キロを「神戸牛」「松阪牛」のサーロインとして、ホルスタイン種や交雑種の牛肉計28.4キロを「和牛」として売ったという。今年4月まで約4年にわたり、原産地を示さず「黒毛和牛切落し」の商品名で牛肉パックを販売する違反も確認された。

 市は「一定の常習性が認められる」として社名を公表し、速やかな是正と再発防止策の報告を指示した。同社は「急激に販路を拡大したことで取扱量が増えて処理が追い付かず、表示内容の確認を怠ってしまった」と説明したという。

 これとは別に、近畿農政局も25日、牛トレーサビリティ法に基づき同社に是正勧告をした。2022年12月~23年3月、以前に仕入れた牛肉の「個体識別番号」を使い回し、計59パックをネット通販業者などに、計約252キロを外食事業者などに販売したという。(井沢泰斗、森下陽介)

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