<レポート>サザンオールスターズが躓きつつ歩み続けてきた46年のリアル【いわゆる「サザン」について展】

サザンオールスターズの“これまで”と”これから”を辿る展覧会【いわゆる「サザン」について展】が2024年6月25日~2024年6月30日の6日間にわたり、東京・SHIBUYA TSUTAYA 1階の「SHIBUYA IP SQUARE A」にて開催されている。一般公開に先駆け、初日にメディア向け内覧会が行われた。

この日、46回目のデビュー記念日を迎えたサザンオールスターズ。このイベントは、今年8月に出版される音楽評論家・小貫信昭による書籍『いわゆる「サザン」について』(水鈴社刊)と連動した形で、書籍から一部抜粋された文章、貴重な写真・映像と共にサザンオールスターズの歩みを体感できるものとなっている。

会場に入ると、道路を模した順路に沿ってデビューした1978年から始まり、年代ごとにターニングポイントとなった活動やバンドの状況が、写真とテキストでタペストリーに描かれている。壁面にはアルバム、シングルのジャケット写真がパネルでまとめられており、個性的なデザインの数々を眺めているだけでも楽しい。場内は映像・写真共に撮影可となっている(※但しビジョンで放映されている映像の撮影はNG)ほか、【いわゆる「サザン」について展】オリジナルフレームでの写真撮影ができるセルフフォトブース「Photomatic」も設置されている(有料)。

また、大型ビジョンが3つ設置されているのも見どころ。取材の際には【ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018】出演時のライブ映像が流れていたのだが、かなりの迫力で思わず興奮して見入ってしまった。尚、このとき以来となる9月23日開催の【ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA】に大トリで出演すること、そして“最後の夏フェス出演”となることも発表されており、こちらも注目を集めている。

デビュー曲「勝手にシンドバッド」の衝撃や、コミックバンド的なイメージを払拭した「いとしのエリー」の大ヒット、「涙のキッス」がチャートで7週連続ナンバーワンの快挙を達成したこと、ライブ終盤のお楽しみ曲「マンピーのG★SPOT」誕生の瞬間etc……楽曲にまつわる華やかで愉快なトピックも章立てのところどころで語られているのだが、今回、特に注目してほしいのが、デビューから常に光り輝き続けているように見えるサザンの影の部分にもフォーカスしているところだ。

例えば、1985年に発表された名盤の誉れ高いアルバム『KAMAKURA』による達成感から、バンドが終わりへと向かいそうになっていたこと。90年代終盤、シングルのセールスが芳しくない状態だったこと。2000年代に入り、国民的バンドとなったことへの期待値に応えるプレッシャーの中でアルバム制作に臨んだこと等々。挫折や躓きもありつつソロ活動や活動休止も挟みながら46年の長きに渡ってバンドを続けてきたことのリアルがここにある。バンドという集合体を続けていく上で、サザンがいかに粉骨砕身、紆余曲折を経てガタガタと長い道のりを進んできたのか。会場に展示された、新しいビジュアル撮影で実際に使用された自動車「三菱・デボネア」の姿と重ねてみると、感慨深さもひとしおだ。

サザンは、同日に新曲「恋のブギウギナイト」を配信リリース。昭和~平成に流行したディスコと令和のEDMが融合したテイストのサウンドは、貪欲に流行をキャッチしつつ時代を横断してヒットソングを世に送り続けているサザンならではの表現が痛快なダンスチューンとなっている。さらに9年ぶり、16枚目のオリジナル・アルバムを今冬リリースすることも発表された。【いわゆる「サザン」について展】であらためてサザンオールスターズの歩みを知ることで、これからも続いていく活動がより一層楽しめるはずだ。

Text by 岡本貴之
Photos by Ian Li

◎イベント情報
【いわゆる「サザン」について展】
開催期間:2024年6月25日(火)~2024年6月30日(日)
開催場所:東京都渋谷区宇田川町21-6 SHIBUYA TSUTAYA 1階 SIPS A
営業時間:25日(火)12:00~22:00、26日(水)~29日(土)10:00~22:00、30日(日)10:00~20:00
※観覧は無料です。
※混雑状況に応じて、入場制限をかけさせていただく場合がございます。
※入場制限、お並びや整理券のご案内などは、当日の店頭案内・店舗スタッフの指示に従ってください。
※撮影は映像・写真ともに可ですが、ビジョンにて放映している映像の撮影・収録はご遠慮ください。

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