クマに襲われ80代女性死亡 青森・八甲田、タケノコ採り中

山中でクマに襲われた女性を救急車に運び込む消防隊員ら=25日午後1時56分、青森市荒川南荒川山
酸ケ湯公共駐車場に設営された対策本部。消防や警察、猟友会の関係者が集まり、緊迫した雰囲気に包まれた=25日正午ごろ
ツキノワグマの出没警報発令について説明する宮下知事

 25日午前8時40分ごろ、青森市荒川の八甲田山系の山林で「女性がクマに襲われた」と、一緒にタケノコ採りをしていた知人の80代男性から消防と警察に通報があった。襲われたのは、むつ市の80代女性で、意識のない状態で青森市内の病院に搬送されたが、同日午後3時2分、多発性外傷の疑いで死亡が確認された。男性にけがはなかった。県内でのクマによる死亡事故は2021年10月の平川市での事例以来、3年ぶり。

 県警や青森市によると、2人は同日午前6時ごろに入山し、3時間後に集合する約束をして別々にタケノコ採りをしていた。同8時半ごろ、男性が獣のうなり声を聞いて辺りを探すと、クマが女性に乗りかかっているのを発見。爆竹や鎌で追い払い、現場から離れて通報した。発見時、女性は体から血を流して倒れていた。呼びかけにも応じなかったという。

 午後0時半ごろ、県警や消防は地元猟友会とともに現場へ向かい、同1時ごろに女性を発見。女性のそばには体長約1.5メートルのクマがいた。猟友会のメンバーが発砲したり、やぶの刈り払いなどをしていたところ逃げていったという。

 男性は今年、タケノコ採りのために7、8回現場を訪れていた。報道などでクマの人的被害は知っていたという。25日もクマよけ用のブザーを鳴らしながら入山していた。

 現場は地獄沼の東方の国道103号から徒歩約30分の山林。付近では、21日に青森市の60代女性がクマに襲われ大けがを負ったほか、翌22日にはタケノコ採り中の女性がクマに荷物を荒らされ、おにぎりを奪われるなど被害が相次いでいた。

 今回の被害を受け、県は25日、県内全域にツキノワグマの出没警報を発表した。期間は11月30日まで。警報発令は23年10月以来2年連続4度目。宮下宗一郎知事は取材に対し「クマが出没しているエリアへの入山は控えてほしい」と呼びかけた。

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