[みんなのケータイ]Pixel 8世代に「有線による外部ディスプレイ出力」がやってきた! しかも発売から8カ月後のソフトウェア更新で

by 森田秀一

Pixel 8 Proの画面を、USB Type-C経由で有線接続したテレビへミラーリングできるようになりました(こちらはHDMI&変換コネクターでの接続例)。まったく同じ画面が表示されています。

驚かされるレベルの機能追加が、発売後になってソフトウェア更新によって実施される──。Pixelシリーズでは、そうした例がこれまでに何度かありました。

その最たるものが2022年12月、当時の最新モデルであったPixel 7/7 Pro向けに実施されたWi-Fi 6E規格の追加です。

いわゆる「技適番号」の更新作業をしてまで、(発売予定の新製品でなく)発売済み製品の機能拡充をしてくれたことに対し、筆者は今でも勝手に恩義を感じております。これぞエンゲージメントマーケティングだ?!

そして2024年6月。またもビックリするような機能追加が行われました。Pixel 8/8 Pro/8aにおいて、USB Type-C端子を通じた、有線での外部映像出力がサポートされたのです。

ミラーリングと呼ばれる形式となっており、Pixel本体上に映っている画面をほぼそのまま、家庭用テレビなどで同時表示できます。ちなみにPixel 8/8 Proは発売から約8カ月が経過した製品です。

これまでもAndroidでは「キャスト」と呼ばれる機能を使って、無線(Wi-Fi)でミラーリングすることはできました。

ワイヤレスなので、テレビから物理的に離れた場所であっても操作できて便利ですが、そもそも自宅なり職場なりにWi-Fiネットワークを構築していなければ、利用できない機能でした。

対して、有線での映像出力は、Android端末によって搭載可否が分かれています(現にPixelがサポートしていなかったくらいですから)。

通常ですと、製品カタログに「DisplayPort Alternate Mode」の記載があるか否かで判断がつくのですが、ハッキリ明言されていないケースもよくあります。

そうした中、Pixel 8/8 Pro/8aが正式サポートを実施した意義は大きいでしょう。利用も簡単です。数千円のケーブルや変換アダプターさえあれば、会社の会議室だろうが旅先のホテルのテレビだろうが、大抵の環境において“ケーブルを繋ぐだけ”で動作するため、汎用性は抜群。

またWi-Fiによるキャストは環境次第(例えばイベント会場などで極端に多くの端末がWi-Fiを利用している場合)で動作が不安定になりますが、有線なら安定した動作が見込まれます。

この有線出力機能、私物のPixel 8 Proでさっそく試してみました。用意したのは、ごく一般的なHDMIケーブル。自宅のテレビに接続します。そしてもう1つが、Pixel 8 ProにHDMIケーブルを繋ぐための変換アダプターです。

周辺機器メーカー各社が市販していますが、今回は筆者がたまたま所有していた「Anker PowerExpand+ USB-C & HDMI 変換アダプタ」を使いました。

今回の検証に使った「Anker PowerExpand+ USB-C & HDMI 変換アダプタ」。HDMIケーブルをUSB Type-C対応の端末(スマホやPC)に接続するために必要です
HDMIケーブルを接続可能。変換アダプターのもう一方(ケーブル側)はPixel 8 ProのUSB Type-C端子に繋ぎます

機器間をケーブルと変換アダプターで繋げて、テレビの電源をオン。すると、それだけでPixel 8 Proの画面に「外部ディスプレイにミラーリングしますか?」というポップアップ表示されました。

ここで「ディスプレイをミラーリングする」のボタンを押せば、すぐミラーリングがスタートします。なお、テレビ側の映像入力を該当HDMIに切り替えるのは手動でした。このあたりはテレビの設定なども影響しそうですので、都度ご確認をお願いします。

ケーブルを接続してテレビの電源を入れると、Pixel 8 Pro側に確認画面が出ます。ここで許可すれば、即座にミラーリングが開始

ザッと見たところ、解像度調整のような特別な動作設定メニューはありませんでした。本当にそのままミラーリングするだけの、シンプルな仕様と言えるでしょう。

Pixel 8 Proの画面を縦横回転させれば、テレビ側の表示も連動します。また動画再生時の音声は、テレビ側から出力されます。

コンテンツ次第ではありますが、例えばスマホアプリ限定で実施されている有料映像配信などを、どうしてもテレビ大画面で楽しみたい際などに、有線映像出力は1つの選択肢となります。

コロナ禍が収束してPPV配信の動向なども変わってきていますが、知っておいて損はありません。仕事関連なら、会議中にプロジェクターでWebやアプリの動作説明をするのに役立ちそうです。

スマホ画面を横向きにすれば、テレビの表示も連動します

注意点としては、映像出力のためにUSB Type-C端子を占有してしまうので、接続中は充電が困難です。場合によっては、充電を考慮した、より高機能な変換アダプターが必要になるかもしれません(接続先がPCモニターであれば、充電できるケースもあります)。

またHDMIケーブル選びにあたっては、長さやコシ(硬さ)の件をお忘れなく。50型超のテレビに1mのHDMIケーブルだと、画面に近すぎて意外と大変です。

こうしてまたPixelシリーズから弱点が減りましたね……と、書いたところで思いだしたのですが、そういえばiPhone 15はUSB Type-Cを採用していますね。

ということは、USB Type-C対応の変換アダプターを1つ用意しておけば、PixelでもiPhoneでも使い回せる時代になったということなのでしょうか? 色々制限はありそうですが、また別の機会に検証してみようっと。

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