米国が中国から学べること―米国際政治学者

中国メディアの環球時報によると、米フォーリン・ポリシーにこのほど、「米国が中国から学べること」とする論評が掲載された。写真は天安門広場。

中国メディアの環球時報によると、米フォーリン・ポリシーにこのほど、「米国が中国から学べること」とする論評が掲載された。筆者は米ハーバード大の国際政治学者、スティーブン・ウォルト氏。

論評はまず、「競争の激しい分野であれば、ライバルは常によりよい結果を出そうと努力している。彼らは自分の立場を向上させる革新を求め、相手にとってうまくいっているように見えるものは何でもまねしようとする。模倣とは、他人がやったことをそのままやらなければならないという意味ではないが、他人が恩恵を受けている政策を無視し、適応を拒否すれば容易に負け続ける」とし、「今日、中国とのより効果的な競争の必要性は、おそらく米国の二大政党が同意する唯一の外交政策問題だ。しかし、中国について警告する専門家らは、中国政府がそれをやり遂げるのに役立ったより広範な措置についてはほとんど考慮していない。中国が本当に米国を食い物にしているのなら、米国人は中国の正しいことと米国の間違ったことを自問すべきではないだろうか。中国の外交政策へのアプローチは、ワシントンの人々にとって有益な教訓になるだろうか」「中国の台頭の大部分は純粋に国内の改革によるものだが、国内改革や西側諸国の自己満足だけによるものではなく、外交政策に対する幅広いアプローチによって促進され、米国の指導者はこの点について熟考すべきだろう」などと論じた。

論評は第一に、「最も明白なことだが、中国は米国を繰り返し陥れてきた高くつく泥沼を回避してきた。中国は国力が増大してもなお、海外で潜在的に高くつく約束を引き受けることに慎重だった。対照的に、米国は外交政策の泥沼に陥るという的確な直感を持っているようだ。米国は、独裁者を倒したり、アフガニスタンやイラク、リビアなどに民主主義を輸出しようと何兆ドルも費やしたりしていないときでも、世界中の国々に、決して守る必要がないと願っている安全保障を提供してきた。これは北大西洋条約機構(NATO)を脱退し、一切の関与を断ち切り、本土に戻るべきだという主張ではないが、新たな関与を拡大することや、既存の同盟国が責任を果たすべきであると主張することについてはより慎重になるべきだということを示唆している。中国が世界中の何十もの国を守ると誓わずに、より強く影響力を増すことができるのなら、なぜ米国はできないのだろうか」とした。

第二に、「中国は米国と異なり、ほぼすべての国と実務的な外交関係を維持している。中国は他のどの国よりも多くの外交使節団を擁し、大使ポストが空席になることはめったになく、外交官はよく訓練された専門家になっている。中国の指導者らは、外交関係について、他者の善行に対する報酬ではなく、情報を入手し、中国の見解を他者に伝え、暴力ではなく説得によって自国の利益を推進するための不可欠なツールであることを認識している。対照的に、米国は依然として対立している国からの外交承認を差し控える傾向があり、それによってそれらの国の利益や動機を理解することが困難になり、米国自身の利益や動機を伝えることがさらに困難になっている。米国政府は、イランやベネズエラ、北朝鮮の政府を公式に承認することを拒否している。これらの政府と定期的にコミュニケーションをとることができれば有益であるにもかかわらずだ。中国は、これらのすべての国と、そして米国にとって緊密なすべての同盟国とも話をしている。私たちも同じことをすべきではないだろうか」とした。

論評はその例として、「中国は中東のあらゆる国と外交関係と経済関係を結んでおり、その中には米国と緊密な関係にあるイスラエルやエジプトなどの国も含まれる。対照的に、米国は『特別な関係』を結んでいる。つまり、イスラエルが何をしようとも米国はイスラエルを支持するということだ。一方、米国はイランやシリア、イエメンの大部分を支配しているフーシ派とは定期的な接触を持っていない。故に、サウジアラビアとイランの緊張緩和を助けたのが米国政府ではなく中国政府であったことは驚くに当たらない」とした。

第三に、「中国の外交政策に対する一般的なアプローチは、国家主権を強調している。つまり、すべての国が自らの価値観に従って自由に統治すべきだという考え方だ。中国とビジネスをしたいなら、自国の運営方法について中国が指図する心配は必要ない。また、政治体制が中国と異なる場合に制裁を受ける心配もない。対照的に、米国は自らを普遍的な自由主義的価値観の主要な推進者とみなしており、民主主義の普及は米国の世界的な使命の一部であると考えている。しかし、世界の国の大多数が完全な民主主義国ではないことを考えると、多くの国が中国のアプローチを好むのは容易に理解できる。特に中国が具体的な利益を提供している場合はなおさらだ」とし、「ある発展途上国の人が私にこう言った。『中国から得られるのは空港だ。米国から得られるのは説教だ』」というローレンス・サマーズ元米財務長官の発言を紹介。「事態をさらに悪化させているのは、米国が道徳的姿勢を装う傾向にあることで、そのため自国の基準を満たさないときはいつでも偽善の非難を受けやすい」とした。

論評は、「自分の失敗から学ぶのは愚か者だけだ。賢者は他人の失敗から学ぶ」という元ドイツ首相、オットー・フォン・ビスマルクの発言を取り上げ、「その発言は次のように修正できる。『賢明な国は、他人の失敗からだけでなく、他人が正しく行ったことからも学ぶ』。米国は中国のようになろうとすべきではないが、中国のより実利的で利己的な対外姿勢から学ぶことはできるだろう」とした。(翻訳・編集/柳川)

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