退職金が高い都道府県ランキングトップ10
文部科学省による直近データによると、公立学校における教員の採用倍率は、2023年度で3.4倍となりました。
小学校における倍率は2.3倍で、いずれも過去最低の倍率となっています。
教員を志望する人は減少している状況ですが、退職金はいくら受け取れるのでしょうか。
今回は、教員の退職金を都道府県ごとに解説します。
記事の後半では、民間企業の退職金と比べて解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
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教員の退職金はどう計算する?
退職金は、以下の項目を合計した金額が支給されます。
- 退職時の給料月額×勤続期間に応じた支給率
- 教職調整額×支給期間に応じた支給率
- 退職手当の調整額
退職時の給料月額が40万8200円で、勤続年数が36年ある教員の場合、退職金がいくらになるか確認しましょう。
- 退職時給料月額×勤続期間に応じた支給率=40万8200円×43.0=1755万2600円
- 教職調整額×支給期間に応じた支給率=1万6328円×43.0=70万2104円
- 退職手当の調整額=356万4000円
勤続年数が36年ある教員で、退職時の給料が40万8200円であれば、退職金は2181万8704円となります。
退職金の受け取るタイミングは、退職月の翌月に支給される予定です。
とはいえ、教員の退職金は都道府県ごとに異なります。
都道府県ごとに、退職金がいくらなのか確認しましょう。
【学校の先生】退職金が高い都道府県はどこ?
教員の退職金を都道府県ごとにまとめた場合、最も金額が高い都道府県は兵庫県となりました。
総務省が公表した「給与・定員等の調査結果等」では、退職金の平均額は2225万2000円でした。
退職金の高い都道府県トップ10をまとめると、以下の通りになります。
- 兵庫県:2312万8000円
- 岡山県:2287万1000円
- 三重県:2284万8000円
- 静岡県:2283万5000円
- 京都府:2273万円
- 山形県:2265万円
- 福島県:2264万5000円
- 愛知県:2258万円
- 群馬県:2252万8000円
一方、退職金が少ない都道府県は、以下の通りです。
- 沖縄県:2100万1000円
- 鳥取県:2118万8000円
- 和歌山県:2132万1000円
- 青森県:2160万4000円
- 茨城県:2172万2000円
- 大阪府:2177万9000円
- 秋田県:2190万5000円
- 埼玉県:2199万3000円
- 奈良県:2202万円
- 北海道:2204万8000円
都道府県ごとに退職金を見ると、2100万円から2300万円となっており、約200万円の開きがありました。
では、民間企業と比べた場合、退職金はいくらになるか比べてみましょう。
民間企業の退職金と比較
厚生労働省が2023年10月31日に公表した「就労条件総合調査」によると、退職金の平均額は以下の通りになりました。
- 大学・大学院卒:1896万円
- 高校卒(管理・事務・技術職):1682万円
- 高校卒(現業職):1183万円
勤続年数ごとにみた退職金(大学・大学院卒)は、以下の通りです。
- 勤続20~24年:1021万円
- 勤続25~29年:1559万円
- 勤続30~34年:1891万円
- 勤続35年以上: 2037万円
勤続年数が35年以上ある場合、学歴別で退職金をみると以下の通りとなりました。
- 大学・大学院卒:2037万円
- 高校卒(管理・事務・技術職):1909万円
- 高校卒(現業職):1471万円
民間企業の退職金と比較すると、教員の退職金は手厚く整備されています。
しかし、勤続年数が短いほど、退職金の受取額は少なくなりました。
勤続年数が30年以上34年以下の場合、退職金は以下の通りです。
- 大学・大学院卒:1891万円
- 高校卒(管理・事務・技術職):1094万円
- 高校卒(現業職):800万円
退職一時金と年金制度をそれぞれ併用している企業もあります。
それぞれの制度を併用している場合、勤続年数35年以上の退職金は以下の通りになりました。
- 大学・大学院卒:2283万円
- 高校卒(管理・事務・技術職):2254万円
- 高校卒(現業職):1610万円
大卒や高卒であれば、一部の都道府県の教員の退職金より高い結果となりました。
教員の退職金は手厚く設定されている
教員の退職金は都道府県ごとに異なりますが、平均では2000万円から2300万円で推移しています。
公務員のため、一部の民間企業より退職金が高くなる場合もあるでしょう。
文部科学省は、教員の人材不足を解消する目的で、教職員として就職した人に対して、奨学金の返済を免除・軽減する方針を発表しました。
教職大学院を修了した人や、大学院を修了した一部の人に限定しますが、教員の待遇面を改善する動きは徐々に広がりつつあります。
退職金の待遇も改善されるのか、引き続き注目していきましょう。
参考資料
- 文部科学省「優れた教師人材の確保に向けた奨学金返還支援の在り方について 議論のまとめ(案)」
- 東京都教育委員会「あなたの退職手当は」
- 総務省「給与・定員等の調査結果等」
- 厚生労働省「令和5年就労条件総合調査の概況 結果の概要」