米穀店も「正直びっくり」コメ価格上昇そのワケは 専門家が指摘、価格安定化の懸念材料は『ダム貯水率』

いま、食卓を支えるコメの価格が上がってきていて、仙台市内のコメの販売店は大きな打撃を受けています。専門家は「去年の猛暑が影響している」とみています。

米穀店も「びっくり」

仙台市太白区にあるコメの販売店です。この店では、宮城県内産を中心に5種類ほど販売しています。今年に入り価格が少しずつ上がってきているということです。

米工房いわい 岩井一剛社長: 「年を越して徐々に2~3月あたりで1回価格が上がって、現状に至る。(去年より)2~3割くらい値段が上がっています」

こうした状況について、米工房いわいの岩井一剛社長は驚きを隠せなかったといいます。

米工房いわい 岩井一剛社長: 「コメは値上がりするものだと思っていなかったので、自分自身正直びっくり」

この店では、コメ以外にも弁当やおにぎりなども販売しています。特におにぎりでは具材やノリが値上がりしているため、コメの価格上昇が追い打ちをかけた形です。

米工房いわい 岩井一剛社長: 「コメ以外の原材料もかなり高騰していて、それプラス、コメも値上がりしている状況。価格転嫁も厳しい状況」

こうした商品について、消費者のため今のところ価格を据え置いているそうです。

コメ価格上昇の理由は…

コメの価格上昇について、コメの生産などに詳しい専門家は去年の猛暑が背景にあるのではと指摘します。

宮城大学食産業学群 中村聡教授: 「猛暑で、特にコメに関しては穂が出てから、玄米にでんぷんが蓄積される登熟期間が、去年かなり高温で、それによって玄米のでんぷんの詰まり方が悪くなり、一部白く濁ったコメが出た」

コメの品質の低下が価格上昇につながったのではということです。

宮城大学食産業学群 中村聡教授: 「猛暑による影響がコメの品質に影響して流通量が減ったところで、値段が上がっていることがあると思います」

米工房いわいの岩井社長も、この状況を不安に思っています。

米工房いわい 岩井一剛社長: 「入荷は今のところはできるんですけど、新米の時期まで入荷が続くかどうか心配です」

現在は仕入れ状況に大きな変化はないものの、新米の時期まで大丈夫か心配しています。

今年の夏も猛暑か、さらに心配なのは…

さらに、コメの品質を左右する天候について、中村教授は、今年の夏も猛暑が見込まれ、心配なことがあるといいます。

宮城大学食産業学群 中村聡教授: 「宮城県ではダムの貯水率が例年に比べて低くなっている。そこがコメ作りに今後どういうふうに影響するのか」

宮城大学の中村教授によりますと、現在コメの価格上昇がみられても今年の新米の時期に流通が増えれば価格も安定する見込みはあるそうです。

一方、すでに全国で気温の高い日が続いていることに加え、農業用水の不足が重なると、コメの収穫量や品質に影響が出て、再び価格上昇につながるのではないかとしています。

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