1日の乗降客数265万人の池袋駅を抱える東京都豊島区の分煙事情

指定喫煙所が少な過ぎる(C)日刊ゲンダイ

たばこ税と分煙環境整備(下)

東京都豊島区池袋。JR、東京メトロ、西武、東武と4つの鉄道路線が乗り入れる池袋駅の1日の乗降客数は約265万人(コロナ前の令和元年=東京都統計年鑑)にも達する。そんな都内有数のターミナル駅を抱える豊島区の分煙事情を調べて唖然とした。令和6年度のたばこ税収は30億9067万円で23区の中で平均的な額だが、人口1人当たりでは1万572円で上から7番目だ。

それにもかかわらず分煙環境整備関連予算は「路上喫煙・ポイ捨て防止事業経費等」として9114万円が計上されているのみである。たばこ税収に占める割合はわずか2.9%。たばこ税収約52億円で分煙環境整備関連予算7億円余の港区は、たばこ税に占める割合が13.7%。4.7倍もの格差がある。

当然、区指定の喫煙所の数も異なってくる。港区は指定喫煙場所(屋外)が39カ所、区の助成制度を活用した指定喫煙場所(屋内)が48カ所ある。それに対して豊島区は区指定の喫煙所は「池袋駅東口喫煙所」(区営)と「池袋駅北口喫煙所」(同)の2カ所と、助成金活用の喫煙所「THE TOBACCO IKEBUKURO」と「ファミリーマート立教通り店」の2カ所をあわせた4カ所しかないのである。

■たばこ税30.9億円なのに区指定喫煙所は4カ所のみ

さらに民間事業者に対する喫煙所設置の助成制度においても、豊島区は設置にあたっての助成限度額が800万円で、維持管理経費は設置から5年間を対象に年間60万円となっている。これに対して港区は、設置費は面積に応じて200万円から最大で1000万円(屋内20平方メートル以上)、維持管理費は助成年限なしで年間150万円である。維持管理費だけをみても豊島区の2.5倍。しかも助成年限なしという点が大違いだ。

豊島区はホームページの中で、「民間事業者等による公衆喫煙所設置等助成」について<喫煙所の整備を促すことで、区民の快適な生活環境を実現します>と言及している。そして令和6年度も4月1日から12月27日まで助成金交付申請を受け付けているが、「相談はあるが申請件数はゼロ」(環境保全課)だという。

同じ東京でありながら23区内における分煙環境整備の格差は歴然としている。ターミナル駅や繁華街を抱える区はその実態に即した対応が不可欠だろう。分煙環境整備に本腰を入れて取り組んでもらいたいものである。(おわり)

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