20代の約半数が関心…若者の“東京離れ”で一極集中は解消される?識者が指摘する最大のネック

もう東京には住めない?(C)日刊ゲンダイ

東京圏で暮らす20代の約半数が地方移住に関心──国交省が18日に発表した「2024年版首都圏白書」によると、コロナ禍以降もテレワークの普及を背景に多様な働き方、暮らし方に対する若者たちの意識が高い。地方移住に関心がある東京圏の居住者の割合は、全世代で35.1%なのに対して、20歳代で44.8%(23年)となっている。

また、住宅価格の高騰などが原因で、30、40代の子育て世代の東京から首都近郊への転出傾向も見られるという。

「進学や就職で東京暮らしを始めたものの、通勤電車や繁華街の人の多さ、空気の汚さや真夏の猛暑、過熱する受験戦争、何より不動産を買うにも借りるにも高いことから、東京は便利で楽しいものの、生活するところではないという地方出身者は少なくないといいます」(不動産アナリスト・長谷川高氏)

若い世代が環境のいい場所でのんびり暮らしたいと思うのはごく自然な流れだという。現在、50代後半の長谷川氏はこう続ける。

「私が20代、30代のときにもUターン、Iターンがありましたが、当時に比べてテレワークが普及しているうえ、SNSやYouTubeで移住コンテンツが人気を集めていたり情報は豊富で、昔に比べて地方移住がより現実的になっています」

即日配送のネット通販や動画コンテンツ、SNSの充実で、地方にいても東京とほぼ変わらぬ生活が享受できるようになった。価値観の多様化も“東京離れ”の要因として挙げられている。

「先日、20、30代の若いビジネスマンと接した際に感じたのが、一流大学を出て一流企業に就職して出世することや、経済的に豊かになることが人生の成功という意識が薄れていることでした。起業にしても単に金儲けがしたいのではなく、我々の時代にはなかった社会的起業家なるものが出てきたこともその一例でしょう。結果、ローカルを目指す若者も少なくないようです」(長谷川高氏)

移住への関心が高まる中、日本の人口の30%近いおよそ3700万人が暮らす東京圏から、人口減少が加速する地方への転出は進むのか。最大のネックはやはり仕事だ。

「地元の農産品などが安く買える地方でも、生活するにはある程度の収入が必要です。求人が限定される地方に移住できるのは、どこにいても稼げる人に限られるように思われます。しかし、地方ではまだ珍しい商品やサービスをつくる技術や技能で生計を立てている人も見られます」(長谷川高氏)

若者のアクションで、東京の一極集中は解消されるのか。

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