大成建設/地方創生のDXプラットフォーム構築、メタバースとデジタルツイン融合

大成建設は重要伝統的建造物群保存地区での活用を想定し、地方創生に向けたまちづくりを後押しするDXプラットフォームを構築した。現実空間をメタバース(3D仮想空間)上に再現するデジタルツインを活用し、現実空間のあらゆる情報をリアルタイムに統合管理して共有できるシステムを開発。都市のインフラや建築物の形状データに属性情報を取り入れた都市BIMも組み込むことにより、生成AIを用いて建物の修景支援やまちの案内ガイドなどに役立てる方針だ。
メタバースとデジタルツインの機能を組み合わせたデジタルツインバースシステム「T-Twin Verse」を開発した。新システムは▽同社保有の測量データと3D点群撮影を組み合わせた高精度3D点群デジタルツインモデル▽3D点群モデルから半自動でBIMモデルを生成するAI▽街区のあらゆる情報を統合管理し大規模自然言語処理モデル(LLM)を活用する街案内▽現地あるいは遠隔地の双方向から接続可能なAR(拡張現実)機能付きインターフェース-の四つの技術で構成。従来のメタバースは現実空間とひも付いていなかった。
同社は広範囲にわたり世界遺産に登録された石見銀山地区(島根県大田市)街道沿い(延長約220メートル)を対象に、デジタルツインバースシステムを用いて街道沿いにある建物やプロジェクト、イベントなどの情報をリアルタイムかつ高精度に統合管理し共有する実証実験に取り組んでいる。
同社が撮影した高精度3D点群モデルや過去に蓄積された観光・文化調査情報を基に、生成AIによる重要伝統的建造物の修景支援や効果検証、街案内ガイドの提供などを行う。同市や島根県立大学、古民家を保有する石見銀山群言堂グループと協働する。
同社は、同システムが全国の重要伝統的建造物群保存地区の活性化や都市部の大規模再開発にも活用できるとみている。

© 日刊建設工業新聞社