中部整備局/南海トラフ地震の半島・沿岸戦略検討会が初会合、総合啓開シナリオ作成へ

中部地方整備局は24日、南海トラフ地震における半島・沿岸初動戦略検討会(伊勢志摩・東紀州エリア)の初会合を三重県松阪市の松阪庁舎で開いた=写真。能登半島地震を教訓に、半島部に特化した即地的、具体的な総合啓開初動時オペレーションシナリオを作成する。今後のスケジュールとして当面は課題の洗い出しを行い、総務省が進める南海トラフ地震の被害想定見直し公表を踏まえシナリオ作成に入ることを確認した。検討会は年2回開催する予定。
冒頭、富田直樹総括防災調整官があいさつし「1月1日に発生した能登半島地震では半島沿岸部の道路が被災し、救助活動に時間を要した。能登半島と同じような地形的特徴を有する伊勢志摩・東紀州エリアを対象に、南海トラフ地震が発生した場合に備え中部整備局、三重県、伊勢志摩・東紀州の5市7町で構成する検討会を設置した」と経緯を説明。さらに「発災時の総合啓開初動時オペレーションシナリオ(本シナリオ)の作成が目的。陸路や海路でアプローチできない場合のリエゾン(現地情報連絡員)の派遣方法、行政機能を喪失した場合の拠点の設置場所など、発災後24時間で何ができるか優先順位を含めて議論したい」と述べた。
検討会は、南海トラフ地震対策中部圏戦略会議の連携課題のうち「防災拠点を結ぶネットワーク形成と総合啓開のオペレーション計画の策定」の枠組みの中で検討する。新たな被害想定に基づき関係機関の役割分担を決め、▽連携する機関共通のタイムライン▽優先する施設の明確化▽行動計画ルールの策定-などを行う。
意見交換では「人命救助など初動時の対応は、関係機関が連携しなければ被害が甚大になる。各機関の連携強化は不可欠」「連携する機関が行うべき共通のタイムライン、優先すべき施設や取るべき行動を共通認識として持つべきだ」などの意見が出された。
検討会は今後、能登半島地震で明らかになった課題などを踏まえ県市町で意見交換を行い、各自治体や伊勢志摩・東紀州エリアの課題を整理し、これを下地に本シナリオの作成を進める。構成員は今後、必要に応じて追加する。
検討会の構成員は次の通り。
▽中部整備局▽三重県▽伊勢市▽尾鷲市▽鳥羽市▽熊野市▽志摩市▽玉城町▽度会町▽大紀町▽南伊勢町▽紀北町▽御浜町▽紀宝町。

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