TikTok5億回再生! マルシィ 大ヒットの要因とは? エモい歌詞と優しい音色にほれ込む人続出

 Z世代を中心に話題となっているマルシィ(左から)フジイタクミ、吉田右京、shuji(撮影・金田祐二)

 福岡発の男性スリーピースバンド・マルシィが令和流のヒットをかなえた。昨年配信の楽曲「ラブソング」がZ世代に口コミで広がり、TikTok5億再生回数&ストリーミング8000万再生回数を突破。24日にTBS系音楽番組「CDTVライブ!ライブ!」へ出演し、同曲を披露した際には「マルシィのラブソングみたいな恋をしたい」「歌詞が染みまくるし夜に聴いたらまじ最高」とXに反響が届いた。優しい音色にほれ込む人続出の次世代バンドに話を聞いた。

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 Z世代の女性を中心に“マルシィ中毒”に陥る人々が続出している。

 マルシィとは、ボーカル&ギターの吉田右京を中心に構成される3人組バンド。22年6月にメジャーデビューし、昨年配信の「ラブソング」がロングヒットを記録中だ。同曲は各サブスクのチャートに常駐し、TikTok再生回数5億回突破の大バズり。恋心をリアルに描いた歌詞に加え、優しくもはかない歌声が心に染みると話題で“浸透率ナンバーワン”と呼び声高い若手バンドだ。

 マルシィ楽曲の作詞作曲を手がける吉田は「『ラブソング』を作った時も手応えを感じていた。楽曲を聴いてほしいなという思いもあったし、届くだろうなという自信がありました」とヒットに笑顔。ベースのフジイタクミは「『ラブソング』は、自分たちを一段階上がらせてくれた」と運命の一曲と位置付ける。

 3人は友人やバイト先を通して知り合い、18年に前身バンドを結成。当時は長いアルファベット表記の別名で活動していたが、ギター・shujiの「僕らは“ほわん”とした感じ。別に派手な服を着ているわけでもないし、音楽性もそういう物じゃないから、もっと覚えやすい名前にしない?」という提案で、現在のバンド名に改名した。

 新進気鋭のバンドが頭角を現す邦ロック界の中で、マルシィらしさは等身大の歌詞に表れる。「ラブソング」をひもとくと、特別な恋愛描写は描かれていない。恋をして相手を知り、たわいもないやりとりの先に未来を描く-。語りかけられているかのように言葉はストレート。平凡の中に幸せがある。それに気付かせてくれるエモい歌詞がZ世代に刺さり、最近はウエディングソングとしても使用されている。

 SNSや口コミで楽曲が広がり、吉田は「聞きやすいとか普遍的というか、マルシィの楽曲で見た時に、何かしらは分かってもらえる部分があるんじゃないかなと思う。考えること、感じることは最終的に男の人も女の人も一緒だと思うので、そういう部分を歌っているバンドです」とヒットの要因を自己分析する。

 メジャーデビューから2年で知名度を上げ、今夏には多数の野外フェス出演を控える。shujiは「日本武道館に立ちたい。ゆくゆくは、東京ドーム3DAYS。すごく大きなことを言ったけれど、一曲一曲、丁寧に地に足着けて向き合うことが今やるべきこと」と青写真を描く。優しい音色を奏でるバンドだが、発する言葉には力が宿っている。マルシィらしさを貫き、人々に寄り添う楽曲作りに奔走する。

 ◆マルシィ ボーカル&ギターの吉田右京、ギターのshuji、ベースのフジイタクミで構成される福岡発のスリーピースバンド。22年6月に1stアルバム「Memory」を発表し、メジャーデビューした。昨年リリースの「ラブソング」は、TikTokで5億再生回数&ストリーミングは8000万再生回数を突破。代表曲はほかに「未来図」「幸せの花束を」など。24年1~3月に全国ツアーを行い、全公演ソールドアウト。今年10~11月に自身初のZeppツアーを行う。

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