櫻坂46「愛し合いなさい」が示す新たな可能性 センター・石森璃花が見せるギャップのある熱量

櫻坂46の9thシングル『自業自得』が6月26日にリリースされた。ダンスミュージック的な趣を感じさせる表題曲「自業自得」に続いて、BACKSメンバーによるカップリング曲「愛し合いなさい」のMVが公開。他にも「引きこもる時間はない」や「イザベルについて」などバラエティ豊かな楽曲が収録されているが、今回のBACKSメンバーによる楽曲は新たな可能性を感じさせた。

「愛し合いなさい」でセンターを務めているのは三期生の石森璃花。その両翼を同じ2002年生まれの武元唯衣、増本綺良が担い、2列目は遠藤理子、小島凪紗、小池美波、向井純葉、大沼晶保、3列目も小田倉麗奈、上村莉菜、幸阪茉里乃、齋藤冬優花、遠藤光莉と強力な布陣となっている。表題曲「自業自得」では初めて三期生から山下瞳月がセンターに選ばれたが、BACKS曲でも三期生の石森がセンターに抜擢されていることからわかるのは、三期生がすでにグループの中で重要な立場となっているということだ。昨年三期生単独で出演した『新参者 LIVE at THEATER MILANO-Za』を経てパフォーマンスの存在感はひしひしと感じるところで、今回の「愛し合いなさい」で石森が真ん中に立ったように、遠藤理子や小田倉、小島、向井の誰がいつセンターになってもおかしくはない。今作で村山美羽が初選抜入りを果たしたように、選抜入りのチャンスがいつでも転がっている。MVでは表題曲で存在感を見せる山下や的野美青を筆頭に、BACKS曲でも向井や小島がアンニュイな表情で曲の世界観を表現しており、早くも『9th Single BACKS LIVE!!』への期待が高まる映像となっていた。

石森は選抜制の導入以降、初めてBACKSセンターを務め、8月に開催される『9th Single BACKS LIVE!!』では座長も担うことになる。6月15日、16日にかけて開催された『櫻坂46 4th ARENA TOUR 2024 新・櫻前線 -Go on back?- IN 東京ドーム』の初日公演のアンコールで『BACKS LIVE!!』の開催がサプライズ発表されると、会場は大きな歓声に包まれた。これまでBACKSメンバーとして先輩たちの姿を間近で見てきた石森は公式ブログの中で、「9枚目シングルを盛り上げられるように、櫻坂46に貢献できるように、精一杯頑張ります!」(※1)と意気込みを明かしていた。『そこ曲がったら、櫻坂?』(テレビ東京系)で明らかになったように女子力高いキャラ、あざといキャラが浸透してきている石森だが、凛々しい表情やしなやかなダンスなど、これまで見せてきたパフォーマンスは櫻坂46らしさを感じさせるものだった。

「愛し合いなさい」は、乃木坂46「君に叱られた」「I see…」のyouth case、Hey! Say! JUMPやSixTONESなどの楽曲を数多く手掛けるTAKAROT、King & PrinceやSexy Zoneの楽曲でも知られるShoma Yamamotoによる共作曲。80年代ディスコを思わせるレトロなサウンドとともに、愛することの尊さが力強いメッセージに乗せて歌われている。櫻坂46のカップリング曲は表題曲と比較して、自由度の高い、挑戦的な楽曲が多いが、今回も例にもれずメンバーたちの新たな表情を引き出している。

MV監督は、ClariS「コネクト」「ルミナス」やBiSH「どんなに君が変わっても僕がどんなふうに変わっても明日が来る君に会うため」などでも知られる映像ディレクターの酒井伸太郎。酒井が櫻坂46の楽曲を手掛けるのは本作が初めてとなる。酒井はカラーグレーディングを駆使したエモーショナルな映像を得意としており、本作でもモノクロと原色を使い分けながら、メンバーの個性を浮き彫りにしている。フロントの増本のアンニュイな表情、小池の存在感のあるダンスなど、普段はなかなか見られない映像となっており、メンバーそれぞれにフォーカスされているのがファンにとっても嬉しい。真っ黒な衣装からそれぞれ異なるカラーの衣装に変化する大サビでは、雨に打たれながら踊るメンバーの力強い姿を見ることができ、色彩の変化によって異なる表情が見られる、ファンにとっては二重で楽しめる映像となっている。

『櫻坂46 4th ARENA TOUR 2024 新・櫻前線 -Go on back?- IN 東京ドーム』でも同曲は披露されることはなかった。8月に開催される『9th Single BACKS LIVE!!』が初めてファンに向けてお披露目される場となるのだろう。三期生が中心となる『BACKS LIVE!!』で果たしてどのような熱いステージを届けてくれるのか。櫻坂46の夏が待ち遠しい。

(文=川崎龍也)

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