梅雨時期にこそ光り輝く「苔の森」 絶景「北八ヶ岳・白駒池」名物パン「高見石小屋」までのハイキング!

白駒池周辺は苔の森が広がっている(撮影:酒井 天里)

例年、関東甲信越地方は6月から7月にかけて梅雨となる。この時期は登山をしたくても晴れの日が少なく、なかなか行動に移せない人も多いのでは。

そこで、今回は雨や曇りの日でも楽しめる、長野県の佐久穂(さくほ)町と小海(こうみ)町にまたがる「白駒(しらこま)池」周辺と、そこから「高見石(たかみいし)小屋」まで歩いて、名物のあげパンを楽しむハイキングコースを紹介する。

■神秘の天然湖「白駒池」

白駒池は標高2,115mに位置する天然湖で、周囲は約1.6㎞あり、標高2,100m以上に位置する天然湖としては日本最大。

周辺には485種類の苔が生息する「苔の森」が広がっており、苔と原生林の神秘的な世界が堪能できる。

また、八ヶ岳登山の玄関口として使われることも多く、白駒池を起点として北八ヶ岳と南八ヶ岳どちらに縦走することも可能だ。

■白駒池を一周で苔と原生林を楽しむ

白駒池の周囲に整備された遊歩道を歩く

白駒池は国道299号線沿いの「白駒池入り口有料駐車場」から、整備された遊歩道を15分ほど歩くと到着する。

白駒池の周囲にも遊歩道が整備され、30〜40分ほどで一周ができる。鮮やかな緑色の木々に囲まれた道を湖を眺めつつ歩けるため、とても気持ちがよい。また標高が高いため、ジメジメと蒸し暑い梅雨時期でも涼しくて快適なのが魅力だ。

白駒池の一番の見所は東側の「もののけの森」と名付けられたエリアだ。一面苔に覆われた原生林が見られる場所で、苔で有名な屋久島(やくしま)にも引けを取らないほどの景色である。

注意点として、雨の日の木道は滑りやすい点と、道幅が狭いところもあるため、対向から人が来た場合は譲り合うことが必要だ。ちなみに、混雑時は反時計回りに一方通行が推奨されている。

■白駒池から高見石小屋へ

白駒池から高見石小屋までは、池の西側から延びている登山道でアクセスできる。序盤は整備された木道を歩くが、徐々に勾配のある登山道へと変わっていくため、必ず登山靴を履いて歩こう。

道中は白駒池の周囲と同様に、苔と原生林のすばらしい風景が楽しめる。また、苔の周りには小さなキノコが生えていることがあり、とても可愛らしいのでよく観察してみよう。

高見石小屋の看板。文字は木の枝で描かれている

白駒池から高見石小屋までは、40分ほど。小屋の名物は喫茶営業時間に販売している「あげパン」。注文を受けてから揚げてくれるため、熱々でサクサクふわふわの触感が楽しめる。

種類は「きなこ・ココア・抹茶・チーズ・黒ゴマ」の5種類で、そのなかから2種類を選ぶセットか、全種類セットがあり、繁忙期(土日祝等)は全種類セットのみの販売となる。ちなみに筆者は全種類セットをいただいたが、特にチーズ味が洋風テイストでお気に入りだ。5種類となると多いと思うかもしれないが、1つがおはぎくらいのサイズのため、ペロリと食べられた。

また、高見石小屋のすぐそばには「高見石」があり、小屋の脇から登れる。大きな岩が積み重なってできた岩山で、頂上からは白駒池を上から眺めることができる。足場の悪い岩の上を歩くため、ゆっくりと慎重に進もう。

●高見石小屋

営業期間:通年営業(不定休有)
喫茶営業時間:10時~14時

■梅雨に輝く苔の森を見に行こう

梅雨は雨が多いため、登山者にとっては憂鬱な季節かもしれない。しかし、山の自然にとっては潤いをもたらしてくれる恵みの雨といえるだろう。山の上から眺める絶景もよいが、足元に広がる艶やかな苔と原生林の風景を眺めに、白駒池周辺に足を運んでみてはいかがだろうか。

なお、天気の急変も多いため、晴れや曇りの日でもレインウェアや折り畳み傘を携行するなど、雨対策は必須だ。事前の天気予報の確認も入念に行いたい。

●白駒池

住所:〒384-0704 長野県南佐久郡

【行程とタイムスケジュール】
白駒池有料駐車場(09:00)→白駒池(09:15-09:55)→高見石小屋(10:35-12:00 ※休憩)→高見石(12:10)→高見石小屋(12:20)→白駒池(13:00)→白駒池有料駐車場(13:15)

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