必死…女性に夢中の男性、送金したくて急ぐ SNSで「最初の友達」と言われ信用していた 慌てる男性、埼玉りそな銀行に到着…異変を感じた窓口女性、直感で詐欺阻止「もしかして男性は、詐欺だと分かっていたかも」

井内慶一署長(右)から感謝状を贈られた塩川さん(右から2人目)、田村さん(同3人目)=6日、児玉署

 ロマンス詐欺とオレオレ詐欺の被害を未然に防いだとして、埼玉県警児玉署は6日、埼玉りそな銀行児玉支店(本庄市)のマネージャーの田村彩子さん(47)と窓口担当の塩川菜津美さん(36)に感謝状を贈呈した。

 同署によると、5月1日午前10時ごろ、同店に神川町の60代男性が来店。「インターネットかコンビニエンスストアで送金したい」と依頼され、「銀行にわざわざ来るなんて、おかしい」と不審に思った田村さんが話を聞くと、男性がこれまでにも高額送金をしていたと分かり、詐欺を疑い警察へホットライン通報した。

 男性は交流サイト(SNS)で外国人女性を名乗る人物と連絡をとるようになり「あなたは日本で最初の友達」と言われ信用。「ブランド品をプレゼントしたい」「高級品なので関税の代金を支払ってほしい」などと要求され、計約300万円を送金していたという。

 田村さんは「男性は急いで送金したい様子だった」と振り返り、「もしかしたら、本当は詐欺と分かっていたが、誰にも相談できず自分でなんとかしようと思っていたのかもしれない」と案じた。

 また、21日午後2時ごろ、本庄市の80代女性が来店。「息子が会社のカバンを紛失し、現金が必要」と100万円の出金を依頼した。窓口で対応した塩川さんが詐欺を疑い、田村さんに相談した上でホットライン通報した。

 同署によると、女性は息子と同居しているが、不在時に息子を名乗る人物から電話を受け、信じ込んでしまったという。塩川さんは女性の家族から「本人は詐欺を疑っていなかったので、気付いてもらえてよかった」と感謝されたとし、「都市部でなくても詐欺が起こるんだと驚いた。地域で助け合って防ぎたい」と話した。

 同署の管轄地域では昨年、特殊詐欺の電話が前年比70件増の110件あった。井内慶一署長は「見逃してしまったら大きな被害が出るところだった。前向きに未然防止に協力してもらい、心強い」と謝意を示した。

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