留学生就職へ新組織 茨城県 産学官連携で支援

茨城県庁=水戸市笠原町

外国人留学生の茨城県内企業への就職を促すため、県は9月、大学や民間企業、経済団体と新たな支援組織を設立する。産学官が連携し、インターンシップや就活イベントなど、さまざまな情報を提供する機会を創出する。人口減少に伴い人材不足が深刻な状況にある中、企業は留学生の受け入れ策を体系的に進め、雇用確保を目指す。

立ち上げるのは、県や県国際交流協会、茨城大、筑波大のほか、県経営者協会や県商工会議所連合会などの経済団体でつくるコンソーシアム(共同体)。6月4日に設立準備会を開催し、9月発足に向けたスケジュールなどを確認した。

コンソーシアムは外国人留学生の県内就職の促進を図る。発足後は経済団体を中心に企業視察ツアーの開催や、インターンシップ先の開拓に取り組む。県が就職関連イベントの企画運営や、企業が留学生を受け入れるための支援策も探る。留学生が在籍する教育機関では、こうした情報を提供する。

これまで企業や大学などが、個別に進めてきた留学生の就職促進策を連携し、体系的に進める。学年ごとのニーズに合わせた説明会やガイダンスを展開し、「留学初年度から、県内企業に興味を持ってもらえる情報を提供できる環境を整える」(県雇用促進対策室)方針だ。

発足に先立ち、各企業が抱える経営課題に留学生がグループで議論する5日間のインターンや、会社概要や業務内容を1日かけて見学する「オープン・カンパニー」の募集を始めた。8月末まで、参加する留学生や企業を県が受け付けている。

独立行政法人、日本学生支援機構の調査では、2021年度に国内で大学や専門学校を卒業した外国人留学生は約5万4000人。このうち国内企業への就職者は47%に当たる2万5000人だった。一方、日本での就職を希望する留学生は全体の58%に上り、就職へのニーズは高い。

同室によると、県内大学や高等専門学校に在学する留学生は23年5月現在、約3100人。担当者は「早い段階から県内での就職を意識してもらえるよう、受け入れ体制や情報提供を進め、雇用確保策を進めたい」と話した。

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