「梅雨型」熱中症に要注意──6月からなりやすい「3つの理由」 “隠れ脱水”のチェック方法と対策は?【#みんなのギモン】

熱中症で搬送される人は去年、6月後半から急増しました。梅雨時期特有の「梅雨型熱中症」への対策は今から必要で、気温だけでなく湿度にも注意する必要があります。梅雨型熱中症を引き起こす1つが「隠れ脱水」。症状やチェック方法、対策を紹介します。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「梅雨型熱中症 どう防ぐ?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。

●室温26℃でも熱中症に?

●隠れ脱水も 予防のカギは?

■6~7月も多い、熱中症の搬送者数

加納美也子・日本テレビ子解説委員

「25日も(東京は)雨は降りませんでしたが、雲が多く、ジメジメムシムシしました。そんな梅雨時期特有の『梅雨型熱中症』という言葉をご存知ですか?」

斎藤佑樹キャスター

「聞いたことはないですね」

加納解説委員

「今の時期、特に注意が必要です。24日に東京消防庁管内で熱中症で救急搬送された人は、57人(速報値)で今年最多となりました。全国的に見ても、6月後半から熱中症で搬送される人の数は急増します」

「総務省消防庁によると、去年は6月初めには1000人未満でしたが、6月下旬から7月にかけて3000人を超えています。そして平年で本州の梅雨が明ける7月頃には、1万人近くまで増えています」

河出奈都美アナウンサー

「熱中症というと、8月の一番暑い時期に多いのかなと思ったんですが、6月や7月も本当にたくさんの方が熱中症になっているんですね」

■「梅雨型」熱中症が起きる理由

加納解説委員

「そうなんです。なぜ梅雨型熱中症が起きるのでしょうか。“日本一暑い街”の埼玉・熊谷市で25年間、熱中症患者の救急医療に携わっている埼玉慈恵病院の藤永剛副院長に聞きました」

「梅雨時期というのは、まだ暑くなり始めです。急な暑さに体が対応できず、熱中症になりやすいということです」

「人は汗をかき、それが蒸発する時に体温を下げていますが、梅雨時期は湿度が高いので汗が蒸発しにくい。藤永副院長は『梅雨に洗濯物が乾きにくいのと同じ』とも話していますが、体の中に熱がこもってしまい、熱中症を起こしやすくなるといいます」

「さらに、『隠れ脱水』も梅雨型熱中症につながります」

■室温26℃でも湿度85%なら…?

加納解説委員

「また気温や室温がさほど高くなくても、湿度が高いと熱中症になりやすいそうです」

「熱中症の危険度を表す、日射がない室内用の『暑さ指数』を見やすくした簡易図があります。縦が気温、横が相対湿度です。室内の温度が26℃でも、湿度が85%だと暑さ指数は25。これは熱中症に警戒が必要な水準です」

刈川くるみキャスター

「私は寝る時にいつも室温を25~26℃で保っているんですけど、最近ジメジメして寝苦しくて…。室温だけでなく湿度も計算して調整した方がいいということなんですね?」

加納解説委員

「そうなんです。湿度が重要です」

■水分不足による「隠れ脱水」の症状

加納解説委員

「そして隠れ脱水ですが、これも梅雨時期は湿度が高いのでのどの渇きを感じづらいそうです。早め早めの水分補給を意識しないと、気付かないうちにじわじわと脱水症状が進んでしまうそうです」

斎藤キャスター

「水分補給も大事だと思うんですが、他にも熱中症予防になることを知りたいですね」

加納解説委員

「梅雨時期を、熱中症にならずに乗り切りたいですよね。藤永副院長によると、隠れ脱水が起きると、口の中が粘つく、唇が乾燥する、尿の色が普段よりも濃くなる、舌の色が赤黒くなって乾燥するといった症状が現れます。どれも水分不足から来るものです」

■爪や手の甲で分かるチェック方法

加納解説委員

「ただ、こうした兆候があっても気付かない場合もありますよね。藤永副院長によると、簡単にチェックできる方法があります」

「爪をギュッと押してみてください。白くなりますが、すぐピンクに戻るのではないでしょうか。ピンクに戻るまでに3秒以上かかったら、隠れ脱水の可能性があるそうです」

「また、日本医師会の資料(健康ぷらざNo.415)によると、 手の甲の皮膚をつまんで離す動作をしてみてください。つまんだ跡が消えるまでに3秒以上かかったら、隠れ脱水の可能性があるということです」

「なかなか皮膚が戻らないのは皮膚の水分が失われ、弾力がなくなっているからです。こうした方法で自分の体調を確認できます。周りで『あれ? 様子がおかしいな』と思う人がいた時にこの方法を試せば、体調不良や隠れ脱水かどうかを見つけることができます」

河出アナウンサー

「『のど渇いてる?』って言われても、それは主観で本人にしか分からないことなので、つまんだり爪を押したりなど、簡単に客観的に確かめられるのはすごくいいなと思いました」

■発汗、水分補給…梅雨型熱中症の予防策

加納解説委員

「隠れ脱水だけでなく、そもそもの梅雨型熱中症の予防策を藤永副院長に聞きました。まずは暑さに体を慣らすことが大事です。具体的には汗をかく練習をすることです」

「雨の日でもできることとしては、湯船に入って汗をかく、家の階段の昇り降りや掃除など、家事を頑張ってじわっと汗をかくのもいいそうです。特にふくらはぎの運動が大切とのことで、座ったままでも、かかとを上げ下げして動かしてもいいそうです」

「そして、適度な水分・ミネラル補給が大事です。のどが渇いてからでは遅いです。早め早めに飲みましょう。少なくとも、起きた時や入浴前、寝る時には200cc、暑い日は1時間おきに100ccとるといいそうです」

斎藤キャスター

「運動をしているとこまめに(水分を)とるのは習慣化されていますが、そうじゃないとなかなか(難しいです)。のどが渇いたら飲む、ということになってしまうので、習慣化できればいいですよね」

加納解説委員

「それが一番安全ですよね。また環境面では、温度・湿度の管理が大切ということで、エアコンを適切に使うことも大事です。エアコンの設定温度ではなく室内の温度は28℃くらい、湿度は40~60%くらいに保つといいそうです」

■気になる電気料金、補助金を再開へ

加納解説委員

「電気料金が気になるという方もいると思いますが、命を守るためには、エアコンは適切に使ってほしいと思います。その電気料金について、政府は補助金を再開すると発表しています」

「補助金は8~10月に再開され、複数の政府関係者によると、1kWhあたり3.5円とする案を軸に調整しているということです。補助が始まれば、標準的な使用量(月に400kWh)の家庭の場合、月に約1400円減額されることになります」

山崎誠アナウンサー

「夏の暑さ、冬の寒さが厳しい時の空調と電気代のてんびんというのは本当に大変だと思いますが、命が関わることですので、効率のいい使い方などをうまく取り入れてやっていきたいですよね」

加納解説委員

「梅雨時期は真夏の一歩手前で、まだ大丈夫と思いがちですが、油断をせずに、水分補給などに気を付けて、不快な梅雨を元気に乗り切りましょう」

(2024年6月25日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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