福島県が秋にもパートナーシップ導入方針 対象サービス検討へ

 福島県は25日、LGBTなど性的少数者のカップルを公的に証明するパートナーシップ宣誓制度について、秋ごろに導入する方針を表明した。導入後は制度のない市町村に住んでいても、県営住宅への入居などの行政サービスが一律に受けられるようになる。同性カップルであることを理由とした社会生活上の困難はなお多く、誰もが安心して暮らせる社会の実現に向けた一歩となりそうだ。

 同制度は、両者または一方が性的少数者の2人からパートナーシップ関係にあることの届け出があった場合、自治体が受理証明書を交付するもの。法的効力はないが、証明書を提示することで、公営住宅の入居や病院での面会を家族同様の取り扱いとする自治体が多い。民間でも生命保険の受取人指定や携帯電話の家族割引適用など、さまざまなサービスを提供する動きが広がっている。

 県は先行する全国の自治体の状況を参照しつつ、対象とする行政サービスを検討する。近く制度の方向性について市町村に説明の場を設け、行政サービスの広がりが生まれるよう協調を呼びかける見込みだ。県民の意見を公募するパブリックコメントも実施する。

 制度を巡り、県内では伊達市が1月、南相馬市が5月にそれぞれ導入したほか、福島市が7月1日に開始する方針。富岡町も導入を検討している。各市町村の制度は県の導入後も効力が続くとみられる。県によると、全国では30都府県が制度を導入済み、または導入予定としている。

 国は昨年6月に「LGBT理解増進法」を施行。県男女共同参画審議会は今年2月に制度の導入を求める意見を取りまとめ、県に申し入れた。県は2月定例県議会で導入を検討する方針を表明し、開始時期が注目されていた。

 25日の6月定例県議会で、大場秀樹議員(県民連合、福島市)の一般質問に答えた細川了生活環境部長は「市町村や県民の声を丁寧に伺いながら、対象となる人がサービスを早期に受けられるよう検討を進めていく」と述べた。

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