鹿嶋からプロサーファー ショートボード 木村美海さん 普及に意欲 「かっこよさ伝えたい」 茨城

プロサーファーになった木村美海さん=鹿嶋市平井

茨城県鹿嶋市平井の木村美海(みう)さん(24)が、先月開かれた日本プロサーフィン連盟(JPSA)主催のプロトライアル第2戦に挑み、プロ資格が与えられる上位4人に入り、念願のショートボードのプロサーファーになった。木村さんは「小学校の卒業式で宣言したプロにやっとなれた」と喜び、「プロとして子どもたちにサーフィンのかっこよさを伝え、鹿嶋でのサーフィン普及に努めたい」と意気込んでいる。

長さ約1.8メートル以下のショートボードは、オリンピックで採用されている種目で、JPSAによると、ショートボードの登録プロは139人。今年からプロトライアルは年2回だけとなり、それぞれ4人ずつしか通過できない狭き門だ。4月の第1戦は1回戦で敗れていた。

第2戦は5月29、30の両日、千葉県の井戸野浜海岸で行われ、85人がエントリー。3または4人のグループで上位2人が勝ち上がっていく戦いで、木村さんは1~3回戦をトップ、4回戦は2位で勝ち上がり、最終5回戦は見事1位となってプロ資格を得た。競技終了を終えるブザーが鳴ってから、結果が出るまでの3分間は「とても長く感じた」という。

父の影響で、5歳からサーフィンを始めた。いつしかサーフィンは生活の一部となり、「プロになる」という目標を掲げ、平井海岸を拠点に練習を積んできた。

だが、ライバルらからは「多くの選手が練習する千葉などと比べ、模範が少ない鹿嶋ではプロになることは無理」「移住した方がいい」などと言われていたという。それでも、海外遠征なども取り入れながら、「地元が拠点」にこだわり続け、力を付けた。

プロとなった瞬間は、休日返上で大会に送っていってくれた父、時計を売ってオーダーのボードを買ってくれた母、食事面でサポートしてくれた妻らの家族だけでなく、応援してもらった人々の顔が一人一人浮かんできた。

サーフィンの審査ポイントは技の積極性と難易度、組み合わせ、スピード、パワー、流れなど。木村さんは誰よりも筋力トレーニングを続けており、体幹が強く、パワーに自信を持っている。

プロが戦う場は年間5試合あり、最終戦はそれまでの上位だけが挑める。第1戦は8月に茨城県大洗町で開幕。「賞金が出るマネーラウンドに進出したい」と見据え、シーズン終了後の最優秀新人賞獲得が今シーズンの目標となる。そして将来的には「次世代のためにも活躍し、鹿嶋を千葉のようにサーフィンの街にしたい」と気合を入れる。

© 株式会社茨城新聞社