「自分が出るタイミングではなかったのかな」古江彩佳の視線はロサンゼルス五輪にも

「パリ五輪」切符を逃し、次の戦いへ(撮影/亀山泰宏)

◇米国女子◇ダウ選手権 事前(25日)◇ミッドランドCC(ミシガン州)◇6256yd(パー70)

前週「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」を終えた古江彩佳は、「レッドアイ(red-eye)」と呼ばれる深夜便で今週の会場に移動してきた。大会後の世界ランキングが更新される前のタイミングだったが、「ダメなのは何となく分かっていました」。8月「パリ五輪」の切符をかけて日本勢2番手を争った山下美夢有が2位フィニッシュ。その時点で逆転されることは覚悟していた。

2021年「東京五輪」出場を逃し、翌年から主戦場を移した米ツアーでトップレベルに仲間入りを果たした。今季トップ10フィニッシュ8回はツアー最多。抜群の安定感を誇りながら、パリの切符を目前でさらわれた。「やっぱり、勝てていないことが今回(オリンピックに)行けない理由のひとつとして、大きな意味であると思う。ゴルフ、スポーツをやる中で勝つことはすごく大事」。ワンランク上の勝ち切れる選手になることを誓う。

勝ち切れる選手になることを誓う(撮影/亀山泰宏)

「悔しいといえば悔しい。自分が出るタイミングではなかったのかな」という冷静な受け止めは、もう前を向いているから。欧州開催のメジャー2試合を始め、米ツアーの戦いは続いていく。歩みを止めなければ、次回2028年「ロサンゼルス五輪」も見えてくる。「一度はやっぱり行ってみたい。いまの位置(上位)をキープしていたら、またチャンスはあるかなっていう風に考えたい」

獲得ポイント(直近13週の比重が高い)を104週の間に出場した対象試合数で割った平均ポイントで決まる世界ランクの現行システムでは、出場試合数が多い選手ほどランキングが上がりにくいのも事実。トップ10の選手は40試合前後がほとんどだが、古江は63試合。ランキングを上げていくことを考えるなら、これまでの“出られる試合には出る”というスタンスに変化を加えていくことも検討する価値がある。

初出場のダブルス戦はリン・シユとペア(撮影/亀山泰宏)

今後のことは頭の片隅に置きつつ、まずは目の前の初出場となるダブルス戦。リン・シユ(中国)からの誘いを快諾したのは「ちょっと前に試合で一緒に回ることが多々あった。しゃべる雰囲気とか、いい人だなって。やりやすさもあるかな」と思えたことが大きい。自分より飛距離が出て、フェードを駆使するスタイルと古江自身のプレーがかみ合えば面白いとも感じた。

初日と3日目に行われるフォアサム(ペアが1つのボールを交互に打つ)に向け、この日は2人そろって古江のブリヂストンのボールを使って18ホールを回った。各ペアが決めるチーム名は「Ballers」。古江のキャディであるマイク・スコット氏の発案で、2人が同じボールを使うことと、「うまい選手」という意味もある「baller」を掛け合わせたという。「まずは(お互いのキャディも含めた)4人で楽しんで頑張りたい。上位争いして、優勝も狙っていけたら」。早速、勝ち切る意欲をにじませた。(ミシガン州ミッドランド/亀山泰宏)

英語でコミュニケーションを図る(撮影/亀山泰宏)

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