ソル・ギョング主演の韓国映画『罪深き少年たち』が日本で公開中だ。本作は、1999年に全北特別自治道・参礼(サムネ)のスーパーマーケットで起こった実話をもとに製作された。噛みついたら離さない「狂犬」との異名を持つベテラン刑事が、検察と警察の闇を暴く社会派サスペンスだ。(以下、一部ネタバレを含みます)
■ソル・ギョング主演映画『罪深き少年たち』ストーリー&見どころ解説
●『罪深き少年たち』ストーリー
参礼にある小さなスーパーマーケットで3人組による強盗事件が発生。3人の被害者のうち、70代の女性が窒息死してしまう。数日後、近隣に住む3人の少年が強盗殺人犯として逮捕された。彼らが犯行を自白したことから、裁判で懲役刑を言い渡された。
事件はスピード解決したように見えたが、翌年、警察署にベテラン刑事のファン・ジュンチョル(ソル・ギョング)が赴任してくる。そんなある日、「スーパー強盗殺人事件の真犯人を知っている」との通報がある。
当時の捜査内容に疑念を抱いたジュンチョルは、少年たちが冤罪である可能性に気づき再捜査に乗り出す。果たして少年たちの無実は証明されるのか。
●見どころ解説
ソル・ギョングといえば、韓国映画『茲山魚譜(チャサンオボ)』で演じた学者・丁若銓(チョン・ヤクチョン)が記憶に新しい。朝鮮王朝時代後期に、カトリック教徒迫害により黒山島へ流刑されるも、島の人々の温かさに触れ、青年漁師の協力を得て海洋学書を執筆した人物だ。
『罪深き少年たち』では、真実を明らかにするために、国家権力に果敢に立ち向かう1人の刑事を見事に演じた。無罪の未成年たちを強引に犯人に仕立て上げる国家権力に恐怖を感じるとともに、証拠や証言を積み重ね真実を明らかにしていく刑事の執念にいたく感動した。
豪華共演者も話題だ。3人の少年を逮捕した捜査係長を『悪霊狩猟団: カウンターズ』のユ・ジュンサン、殺害された女性の娘を『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のチン・ギョン、ジョンチョルとバディを組む後輩刑事を『イカゲーム』のホ・ソンテ、ジョンチョルの妻を『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』のヨム・ヘラン、ある秘密を持った少年をソ・イングクが、それぞれ演じている。
ソ・イングクは、88キロまで体重を増やすほど役作りに力を注ぎ、鋭い眼光と抜群の演技力で絶大な存在感を放った。
■『罪深き少年たち』の舞台、全北特別自治道・参礼の観光スポット
『罪深き少年たち』の舞台となった参礼は、韓国中西部の全北特別自治道・完州(ワンジュ)郡にある。万頃江(マンギョンガン)という河川をはさみ、700軒の伝統韓屋村で有名な道庁所在地・全州(チョンジュ)の北西側に位置している。
肥沃な土地と温暖な気候の万頃平野に位置する参礼では、日本統治時代に米の栽培が盛んに行われていた。収穫した米は、鉄道を利用して道の北西部にある群山(クンサン)港へ運ばれ、そこから日本に搬出された。
参礼には、1920年に米を保管するために作られた大規模な穀物倉庫群が現在も残されている。それらの倉庫は、日本からの解放後、農協の貯蔵庫として使用されていたが、2013年から「参礼文化芸術村」という文化芸術作品の展示場や公演場として開放、参礼観光の目玉となっている。
参礼文化芸術村からタクシーで5分ほど南へ移動したところに、「飛飛亭(ビビジョン)村」がある。住民たちに働く場所を提供するため、2012年にオープンした空間だ。
農家レストランと、BTSが訪問したことでアーミーたちの聖地となっている「VIVINAKAN」というカフェでは、住民たちが無農薬で育てた材料で作る伝統茶や料理を提供している。
●参礼へのアクセス
ソウル南部バスターミナルから参礼共用バスターミナルまで約3時間30分。