都知事選 候補者が訴える“独自政策” 現職に厳しい質問も

舌戦が続く都知事選、6月25日も候補者は各地で政策を訴えました。6月24日夜に行われた公開討論会では、候補者同士が質問し合う場面があり、現職の小池知事への厳しい質問が相次ぎました。

ファミリー層が多く住む多摩エリアを中心に街頭演説を行った元航空幕僚長の田母神俊雄さんは、減税で若い世代の所得を増やし、少子化対策につなげたいと訴えました。

田母神俊雄氏:「少子化、大問題です。今の状態が続くと30年後50年後、日本が続かなくなります。そのために、都民税の減税が若い人に恩恵が及ぶように、都民税は例えば40歳までは半額にしますとそういうことを考えて、若い人の実質所得が増えるようにしたい」

広島県安芸高田市の前市長石丸伸二さんは、子育て世帯も多く住む江戸川区や葛飾区に入り、未来を担う若者を意識した「教育への投資」が必要だと訴えました。

石丸伸二氏:「成長戦略の要として、石丸伸二は教育への投資、具体的には学校環境の改善。これにまずは100億円、何としても確保していく。そして来年度から、それを学校現場に投下する。これが私の公約」

前参議院議員の蓮舫さんは、台東区の谷中銀座商店街を訪れ、店先で支援を呼び掛けたほか、板橋区の成増駅前で街頭演説を行い、「都民の目線」に立った税金の使い方をしていくと強調しました。

蓮舫氏:「プロジェクションマッピング48億円です。だったら私は光と影がある、格差が広がっている、光を影に充てるのが本当の知事のあり方で、みんなの税金のいきた使い方を知っている、そんなリーダーになりたいと強く思う」

現職の小池百合子さんは、公務で女性活躍の推進を目的とした会合に出席し、集まった女性経営者に育児環境を改善すると約束しました。

小池百合子氏:「男性も育休を取って貰えるような環境を作っていきたいと考えています」

また最新の防災設備を備えた八王子市の給食センターも視察し、災害時の対応を確認していました。

小池百合子氏:「給食センター、去年できたばかりでございますけども、LPガスを活用していますので、いざといったときもエネルギーは確保されている」

6月24日夜、インターネットの公開討論会に出席した4人の候補者たち。「最も訴えたいこと」のテーマではそれぞれが目指す東京の姿をアピールしました。

田母神氏:「都政の目標はより安全でより豊かな東京を都民に提供することだと思います」

蓮舫氏:「若者の手取りを増やす、ここに特に力を入れたい。残念ながら格差が広がって、いま頑張っても抜け出せない子たちが増えている」

小池氏:「キーワードは首都防衛。首都を構成している都民の命と暮らしを守っていく、そして災害、あらゆる危機から都民を守っていく」

石丸氏:「次の世代が少しでも有利となるよう教育の質、これを可能な限り急いで高めるべきとの見解」

候補者同士が質問をし合う場面では、現職である小池知事の政治姿勢を問う厳しい質問が相次ぎました。

蓮舫氏:「前回討論会をさせてもらったときに、小池さんは神宮内苑は原生林、神宮外苑は人工林とはっきり言いました。その認識はいまも一緒ですか?」

小池氏:「神宮内苑が全国から献木された10万本の植栽をされた内苑になっている。当然承知している」

蓮舫氏:「認識を改めてくれてよかった。前回言われた内苑が原生林というのは完全な嘘ですから。そういうことを開発を規制を緩和する都知事がいうべきではないと思っていたのを正してくれてありがたかったんですが、もう少し聞きたかったのは、まさかその外苑の再開発の事業者から都知事はパーティのチケットの購入とか受けてませんよね?」

小池氏:「パーティの開催につきましてはそれぞれ法律にのっとった形で公表をさせていただいているところ。そのような形で公開もしているところ」

石丸氏:「いまの蓮舫さんの質問は回答にイエスかノーかで答えられるので、イエスかノーかで答えてください」

小池氏:「私はこれまで政治のパーティという形で開かせてもらっている。その中には様々な方からご意見を伺うと同時にご協力も頂いている。そしてそれは法的にのっとって進めている」

続いて蓮舫さんが小池さんに、ペットの殺処分に関する質問をしたあと、小池さんが司会者から他の候補者への「質問はあるか?」と問われると…

小池氏:「特にございません。むしろ皆さんの意見をもらって参考に」

また、小池さんが1期目に言及した築地再開発に関する方針についても…

石丸氏:「「築地は守る豊洲は活かす」という話があったかと思うが、この4年間で築地に対してどのような思いを馳せていたのか、純然たる興味で聞いている」

小池氏:「私はずっともっとよくしていくということを言っている。蓮舫さんも時々使っていただいてありがとうございます。お認めいただいているという風に理解した。もっともっとよくしていく、また東京にはそのポテンシャルがある。それを生かしていく。築地については食文化、必ず生かしてまいります。何も変わっておりません」

石丸氏:「築地は生かすのほうに変わったということなんですね?」

小池氏:「生かすことは当然のことでございます」

田母神氏:「築地に私が事務所構えているが、実は小池知事を恨んでいる人結構多いですね。一番変わったのはネズミがすごく増えたらしい。事務所を築地に構えたら小池知事の悪口をいう人が多いんです、すごくというのが感じてます」

小池氏:「ちょっとお友達選んだ方がいいと思いますけれども」

6月25日で6日目となる都知事選ですが、すでに選挙を巡る刑事事件やトラブルが相次いでいます。

小池さんと蓮舫さんの関係先や選挙事務所には「新しい爆弾を仕掛けた」「選挙事務所を爆破する」「ナイフで殺害する」などの脅迫文が届いていたことが分かりました。警視庁が捜査を進めていて、小池陣営は「都民の皆さまの安全を守りながら選挙戦を戦い抜く」、蓮舫陣営は「候補者や街頭演説に集まる方を含め、安全が確保されるよう取り組む」とコメントしています。

そして、選挙ポスターを破損させたなどとして、これまでに31歳から60歳の男女4人が逮捕されています。選挙ポスターをめぐっては、掲示内容について、候補者らが警視庁から警告を受ける事態にもなっています。

女性専用の風俗店のポスターを貼ったとして、政治団体「NHKから国民を守る党」の立花党首を、風営法違反の疑いで警視庁が警告しました。またほぼ全裸の女性のポスターを貼ったとして、河合候補に都の迷惑防止条例違反の疑いで警告しています。両者とも警告を受け、貼り直すなどの対応をしているということです。

さらに、選挙ポスターを巡っては、同一のポスターが多数貼られる事態にもなっています。政治団体が寄付をした人のポスターを貼る活動をしているためですが、選挙を所管する総務省によりますと、ポスターの記載内容を直接制限する規定はなく、選挙管理委員会が、事前にチェックすることもないということです。

この事態について林官房長官は、「候補者以外が使用できるものではない。制限については、選挙運動に関する事柄であり、各党で議論してもらうべき」という見解を示しています。また選挙を所管する松本総務大臣は、「公選法上、掲示の権利を売買するものとはされていない」と述べ、処罰の対象になるかどうかは、捜査機関が判断すると説明しています。

また他県の知事からも、苦言が呈されていて、全国知事会の会長を務める、宮城県の村井知事は、「選挙は民主主義の根幹だ。ふざけた、人をばかにしたようなものは良くない」と批判しました。さらに、自身が旧自治省や総務省の選挙部で選挙に携わった経験のある、鳥取県の平井知事は、「日本の民主主義が世界中の笑いものになる」と危惧しています。

一連の事態について、憲法学が専門の一橋大学大学院の只野教授は、「日本の選挙制度は、良識に任せてきた面がある。今回のような問題が続けば、より窮屈な制度を作らざらるを得なくなる」と危惧しています。

都知事を選ぶ場で起きている今回の事態、今後、どうしていくべきなのか有権者1人1人がしっかりと考えていく必要がありそうです。

都知事選には過去最多の56人が立候補しています。来月7日に投開票が行われ現在、期日前投票が始まっています。これまでに7万8347人が期日前投票を行っています。主な争点には災害対策や少子化対策のほか、小池都政の2期8年への評価などが挙がっています。

都知事選挙は来月7日に投開票です。そして今回、TOKYO MXは選挙ドットコムと共同で都知事選挙の「投票マッチング」を行っています。都知事選の争点となっている子育て政策や防災対策など都政に関する20の質問に答えることで、有権者が自分の考えに近い候補を調べることができるようになっています。「MX投票マッチング」で 検索するか、画面左下に表示されているQRコードからアクセスできます。投票先を決める際にぜひご活用ください。

■東京都知事選挙 立候補者(届け出順・敬称略)
野間口翔(36)/澤繁実(47)/大和行男(46)/木宮光喜(71)/小池百合子(71)/内海聡(49)/石丸伸二(41)/小野寺紘毅(79)/新藤伸夫(75)/竹本秀之(68)/桜井誠(52)/ドクター・中松(96)/安野貴博(33)/清水國明(73)/AIメイヤー(51)/桑原真理子(50)/後藤輝樹(41)/河合ゆうすけ(43)/福本繁幸(57)/黒川敦彦(45)/桑島康文(62)/田母神俊雄(75)/蓮舫(56)/内藤久遠(67)/内野愛里(31)/石丸幸人(51)/尾関亜弓(43)/小松賢(36)/加賀田卓志(47)/福永活也(43)/犬伏宏明(48)/武内隆(61)/遠藤信一(59)/上樂宗之(45)/二宮大造(53)/中江友哉(32)/舟橋夢人(58)/山田信一(53)/加藤英明(65)/草尾敦(55)/津村大作(50)/横山緑(46)/前田太一(38)/南俊輔(39)/福原志瑠美(41)/木村嘉孝(49)/三輪陽一(42)/松尾芳治(46)/穗刈仁(57)/小林弘(49)/加藤健一郎(74)/ひまそらあかね(41)/向後真徳(62)/牛窪信雄(51)/古田真(77)/アキノリ将軍未満(37)

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