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投資で得られる利益が非課税になるNISA(ニーサ、少額投資非課税制度)が注目されている。今年1月からは、非課税投資枠などの優遇措置がさらに拡大した。利用している人、しない人、それぞれに取材した中で、今回はNISAで利益を上げている人、株主優待をうまく使っている人の体験を紹介する。
### ■加古川市の団体職員男性(62)「一発勝負ではなく、配当で」
兵庫県加古川市の団体職員の男性(62)は、NISAが始まった2014年から積極的に使っている。
株式や投資信託などが運用できる「一般NISA」は非課税投資枠上限の年120万円を、長期投資向けの投資信託を対象とする「つみたてNISA」も上限の年40万円を拠出してきた。
24年から一般NISAは「成長投資枠」となり、非課税投資枠は年240万円に拡大。つみたてNISAも「つみたて投資枠」となり、非課税投資枠は年120万に。いずれも上限額まで使う予定という。
投資方針は「(銘柄の高騰による)一発勝負ではなく、配当で稼ぐ」。日々の値動きに一喜一憂せず、頻繁には売買しない。
成長投資枠では、銀行など高配当が期待される上場企業の株式のほか、応援の意味を込めて兵庫県内の企業の株式を運用する。
つみたて投資枠では、株価指数に連動するインデックスファンドの投資信託を複数購入。全世界株式、全米株式を中心に、新興国株式、国内株式の商品も運用している。
長年投資をしているため、NISA分だけの利益は分からないが、男性は「運用益は500万円近くでは」と話す。
「日本も米国並みに国民全体で投資をすれば経済が活性化する。NISAを、もっと国内への投資が有利になる制度にすればいい」との考えを示した。
### ■加古川市の主婦(64)「日常の買い物額に還元」
株主優待を目当てにNISAを利用する人もいる。
同じ加古川市の主婦(64)は2017年、父の株式を相続した際に、証券会社員に大手スーパーの株式を勧められた。
買い物すると、持ち株数に応じた割合の金額が還付されるという。NISA口座を使って15万円分を購入。自宅近くの店で、株主に付与されるカードを使って買い物することで3%の還元を受けている。配当金も非課税で受け取っている。
女性は「15万円なら、たとえ損をしても落ち込まないと思い切った。普段の買い物からお得になるので元が取りやすい」と話す。
一方で、他の株式や投資信託などを運用したいとは思わない。「投資の知識がなく、怖いので興味がない。老後の資金を減らしたくない」と理由を口にした。(斉藤正志)