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「私自身は四面楚歌であるとは感じておりません」
19日の党首討論で国民民主党の玉木代表にこう反論した岸田首相だったが、いやいや、やっぱり四面楚歌だ。秋の自民党総裁選に向け、菅前首相や中堅・若手議員から岸田首相の責任論や退陣論が相次いでいるが、霞が関でも総スカンになってきた。8月使用分からの電気・ガス代補助復活という岸田首相の肝いり経済対策で、所管の経産省や財源を工面する財務省から疑問が噴出しているのだ。
電気・ガス代補助の復活は、21日の記者会見で岸田首相が「酷暑乗り切り緊急支援」として唐突にブチ上げたものだ。電気代の補助は家庭向けで1キロワット時当たり3.5円程度とする方向で調整されていて、標準家庭では月1400円の減額となる見通し。今年4月分までと同水準。8月分から3カ月間実施する。これを受け、岸田首相は25日、公明党の山口代表と首相官邸で会談し、財源に予備費を活用する考えを示したという。
■「場当たり」「相手にしたくない」
電気・ガス代補助は、ウクライナ戦争でエネルギー価格が高騰した昨年1月から始まり、段階的に縮小され、今年5月末に終了したばかり。1カ月も経たぬうちに復活だ。円安物価高で国民生活が苦しいのは分かっているのに、だったらなぜ打ち切ったのか。霞が関から疑問の声が出るのも無理はない。
「事前の調整はほとんどなく、突然降ってきた。こんな場当たりでエネルギー政策としてもどうなのか」(経産省関係者)
「すでに4兆円近い予算が使われている。復活でさらに数千億円が必要になるが、実施は3カ月だが、本当に終われるのか」(財務省関係者)
原発の新増設まで打ち出した岸田首相は、原発推進の経産省にとって“頼もしい首相”だったはずだが、死に体首相と見たら役人は離れていくのが早い。
「総裁再選のための人気取りが露骨すぎて、役人も開いた口が塞がらない状態。もはや、相手にしたくない、勝手にさせればいい、という心境に入っています」(政治評論家・野上忠興氏)
ホントに政権末期だ。鈍感力首相は、これでも四面楚歌と感じないのか?