テキサンズの可能性に自信を示すベテランDBキング、「俺たちは伸び盛りのチームだ」

ヒューストン・テキサンズのデズモンド・キング【NFL】

4年前、ディフェンシブバック(DB)デズモンド・キングがヒューストン・テキサンズに加入したとき、チームに関する話題のほとんどはネガティブなものだった。

実際、かつてテキサンズに在籍していたランニングバック(RB)フィリップ・リンゼイは、チーム外の人々がテキサンズをNFLの“ゴミ箱”と見なしているとまで言っていたほどだ。

なんと時代が変わったことか。

今や、テキサンズはAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)の注目チームであり、昨シーズンには10勝7敗でレギュラーシーズンを締めくくって、2019年以来となるAFC南地区タイトルとプレーオフでの勝利を手にしている。これだけでも、過去5年間のほとんどを下位に沈んでいたチームにとっては成功と言えるが、クオーターバック(QB)C.J.ストラウドが加入し、即座に成功を収めたおかげで、今のテキサンズはさらに大きな目標を見据えている。

この状況を考えれば、29歳のキングが2024年にテキサンズに戻ることは簡単な決断だった。

現地22日(土)、キングは『KPRC 2 Houston(KPRC 2ヒューストン)』のアーロン・ウィルソンに「それだけが戻ってきた理由ってわけじゃない」と語り、こう続けたという。

「俺がヒューストンで過ごすのは4年目になる。ここに来て最初の数年間でチームと組織が成長する様子を見てきたし、今の状況も見てきた。自分にできることと、俺がチームにもたらすことができるものを知っているから、ヒューストンにいるのは自然なことさ」

「俺たちは伸び盛りのチームだし、これから先も伸びていく。チームはシーズンに向けて準備中で、俺もその一員なんだ」

もし誰かがこの成果を得るにふさわしいとすれば、それはキングだ。ベテランであるキングは、単純にキャリアを継続しつつ、移行期にあるチームにリーダーシップを提供することを見込まれてテキサンズに加わった。キングはチームが2021年と2022年に苦戦する中で成功を収めただけでなく、複数のポジションで有能な選手を必要とするテキサンズのために、パントリターナーとしても活躍。とは言え、テキサンズが2021年と2022年に2人の異なるヘッドコーチ(HC)のもとでそれぞれ4勝13敗と3勝13敗1分と低迷したことを踏まえれば、キングのような選手が他の選択肢を検討するのも無理はなかった。

実際、キングは2023年にピッツバーグ・スティーラーズと契約。しかし、その関係は長く続かず、シーズン中にスティーラーズから放出されてしまう。新天地を探すときが来ると、キングは馴染みのある場所に向かった。テキサンズだ。

キングはテキサンズが弱小チームから有望な優勝候補へと変貌した絶好のタイミングでチームに再加入している。新人ヘッドコーチ(HC)デミコ・ライアンズが指揮する新生ディフェンス陣の一員として、キングは7試合に出場し(うち3試合は先発)、タックル47回(そのうち5回はロスタックル)をマーク。ストラウドが率いる刺激的なオフェンスも相まって、テキサンズはプレーオフ進出を果たし、スーパーワイルドカードウイークエンドでクリーブランド・ブラウンズを圧倒した後、ディビジョナルラウンドではカンファレンスのトップシードであるボルティモア・レイブンズに敗北した。そういった経緯から、テキサンズは2024年に向けて大きな期待を抱いてオフシーズンに突入している。

テキサンズがもはやNFL内で忘れ去られるような存在ではないことは、すぐに明らかになった。それだけで、キングはテキサンズで再挑戦する決意を固めるには十分だったのだ。ベテランであるキングは、テキサンズが自画自賛して時間を無駄にしない限り、2024年シーズンが大きな成功へのスタートとなりうると考えている。

「正直に言って、目標に集中することがすべてだ」と話すキングは、次のようにつけ加えた。

「俺たちがどんなチームかは分かっている。ロッカールームでも毎日それを感じているよ。それがフィールドに出たときにどう表れるかだ。確かに注目もされているし、期待も背負っているけれど、練習場で実際に努力しているときにはそんなものは関係ない」

「それがすべてなんだ。毎日、血と汗と涙を流しながら努力している。俺たちが何を持っているのか分かっているし、自分たちの力を信じなきゃならない。それこそ本当に大事なことだ」

テキサンズが2024年シーズンも勢いを保ち、成功するとは限らない。どんなNFLのチームであっても、成功を収め続けるには多くの要素が必要だが、キングは今、テキサンズには勝利に必要な条件がそろっていると確信している。 2シーズンの低迷を経た後、キングはこれまでに待った時間が報われることを願っているのだ。

【KO】

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