『百年の孤独』の文庫版が本日発売。ビギナー必携、作家・池澤夏樹 監修の「『百年の孤独』読み解き支援キット」を無償配布。解説は筒井康隆

ガブリエル・ガルシア=マルケスの代表作『百年の孤独』の文庫版が本日、株式会社新潮社より発売された。

池澤夏樹 監修「『百年の孤独』読み解き支援キット」本日より配布開始

本作は「マコンド」という架空の村で生きる「ブエンディア」という一族の物語だが、この一族には同じ名前の人物が大量に現れる。ガルシア=マルケスの出身地コロンビアをはじめとするスペイン語圏では親の名前を継承することは珍しくなく、ガブリエル・ガルシア=マルケス自身も父の名はガブリエル・エルヒオ=マルケス。スペイン語圏外の読者にとっては面食らうことだが、それもまたおそらく著者の企み。しかし読んでいて混乱することは確かで、ページ数も700ページ近くあり、読み手にとっては敷居が高く感じられるかもしれない。 そこで、文庫化にあたって「『百年の孤独』読み解き支援キット」を提供。本キットは作家・池澤夏樹が著書『ブッキッシュな世界像』(白水社刊)や『世界文学を読みほどく』(新潮選書)で発表したもので、「ブエンディア一族家系図」と作品要約「百年の歴史実話・抄」で構成されている[レイアウトの都合で「ブエンディア家の人々」(主要人物出入り表)は割愛]。

HTML版とPDF版があるので、ご活用いただきたい。詳細はこちら。

『百年の孤独』試し読み

なお、本日より新潮社のウェブメディア「BookBang」にて作品冒頭を公開、試し読みが可能。詳細はこちら。

現代の作家にまで変わらぬ影響力を与え続ける歴史的名著

本作は現在までに46の言語に翻訳され、5,000万部発行されている世界的ベストセラー。「マジック・リアリズム」というキーワードとともに世界の文学・文芸批評に巨大な影響を与え続けており、文庫化にあたって現代文学や批評の最前線に立つ方々からコメントが寄せられている。

ミクロとマクロを往来する、「物語」にしか成し得ない奇跡。 ──西加奈子(小説家)

想像力の限界を超えた作品。この本がなければ、ぼく自身が小説を書けなかった。 ──小川哲(小説家)

毎晩この本を10ページ読んで、南米の魔法に酔いしれよ! ──齋藤孝(明治大学教授)

筒井康隆による解説、三宅瑠人による装画、初回出荷分限定特別仕様

本書巻末には小説家・筒井康隆が解説を寄稿。筒井にとってガルシア=マルケスは特別な存在で、本書解説では〈「ラテン・アメリカの土俗性が喜ばれるのは日本の後進性を示している」などと嘯いていた〉文壇の老大家に〈鳩尾に十七回突きを入れ、六十九回両ビンタを食わしてやりたい〉と書いている。 また、装画はイラストレーター/デザイナーの三宅瑠人が担当。三宅はBirkenstockやGucci、Bottega Veneta、TOYOTA、NHKドラマ『虎に翼』などにクリエイティブを提供し、世界的な注目を集めている。

さらに、新潮文庫の大きな特徴であるスピン(紐しおり)も本作では特別仕様。通常こげ茶色のスピンだが、初回出荷分限定で煌びやかな金色の特別なものを採用している。

ガブリエル・ガルシア=マルケスについて

1927年、コロンビアの小さな町アラカタカに生まれる。ボゴタ大学法学部中退。「エル・エスペクタドル」紙の記者となってヨーロッパにわたり、ジュネーブ、ローマ、パリ各地を転々とする。55年に処女作『落葉』を発表。1967年に『百年の孤独』を発表すると瞬く間に空前のベストセラーとなり、世界各国で翻訳された。以後『族長の秋』『予告された殺人の記録』『コレラの時代の愛』『迷宮の将軍』など次々と歴史的傑作を刊行。1982年にはノーベル文学賞を受賞した。

ガブリエル・ガルシア=マルケス(Photo ©︎ LM.PALOMARES)

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