平均年収985万円! 大人気「ニンテンドースイッチ」後継機発表で注目の任天堂、独創的な商品を生み出す秘訣とは?

離職率はわずか2%! 新入社員も魅了される職場環境とは?

任天堂は、ハード・ソフト一体型のゲーム専用機ビジネスを経営の中核に据え、多くの人々に愛されるゲームを生み出しています。全世界で1.4億台以上( 2024年3月末時点)を販売しているニンテンドースイッチはその代表的な成功例です。2025年3月末には待望の後継機が発表される予定で、さらなる業績向上への期待が高まっています。

任天堂の魅力は商品のみならず、その職場環境にもあります。離職率の低さはその一例。2022年度の離職率は男性2.0%、女性1.6%と非常に低く、新入社員の定着率(3年以内)は驚異の98.8%を誇ります。一般的な大企業の新入社員定着率は7割前後※であるため、かなりの高水準といえます。これほどまでに高い定着率を支えるのは、ワークライフバランスを実現する職場環境にあります。

※厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況 」

フレックスタイム制(コアタイムは10時〜15時)の導入は代表例です。有給休暇の取得率は87.7%となっており、年次有給休暇保存制度(有給の未使用分を一定限度内で保存して利用できる制度)やリフレッシュ休暇(勤続年数に応じて付与される特別休暇)も整備されています。

また、育児休暇の取得率は女性約107%※、男性も約80%と高水準(国内、一般的には女性80%、男性20%程度※2)で、子どもが小学校3年を修了するまでは1日2時間まで勤務時間を短縮できる制度や、1年間につき5日まで「子育て休暇」が取得できるなど、子育てへの支援も充実しています。

※1 当該年度中に子どもが生まれた社員数に対する同年度中に新たに育児休業を取得した社員数の割合のため100%を上回る

※2 厚生労働省「育児休業取得率の推移 」

さらに介護・特定疾病を対象とした短時間勤務やコアタイム免除など、多様な働き方を支える制度が充実しています。こうした手厚い制度が良い職場環境を作り上げ、離職率の低さにつながっていると考えられます。

平均年収は985万円、選択型の福利厚生制度も魅力

任天堂は平均年収が985万円と高めであることも特筆すべき点といえます(2023年3月時点、正社員)。さらに2023年4月からは新卒の大卒初任給を約10%引き上げ、25万6000円としました。大学院博士卒は28万4000円、同修士卒は26万7000円となっています。なお同じタイミングで契約社員、嘱託社員、アルバイトを含む全社員の基本給を定期昇給とは別に10%増額しました。

福利厚生制度の種類が豊富で充実している点も特徴です。団体長期障害所得補償保険や総合福祉団体定期保険などの各種保険を完備。住宅手当や選択型福利厚生制度(会社から付与されたポイント内で、利用する福利厚生メニューを自由に選べる制度)なども備えており、社員の多様なニーズに応える制度が働きやすい環境を提供しています。

「任天堂DNA」を基盤とした成長戦略が奏功、純利益は過去最高を更新

2023年5月に発売された「ゼルダの伝説ティアーズ オブ ザ キングダム」や2023年10月に発売された「スーパーマリオブラザーズワンダー」の売上が順調に推移したこともあり、任天堂は直近の2024年3月期決算で純利益4906億円と過去最高を更新しました。

この成功には、京都という土地柄も影響していると考えられます。京都は昔から学生のまちとして知られ、まちづくりに大学が大きく寄与してきた歴史があります。実際に京セラや村田製作所、ニデック(旧:日本電産)など、世界的なものづくりのメーカーの本社が数多く存在し、技術者が育ちやすい環境が整っています。

任天堂が成功しているもう一つの要因は、「娯楽を通じて人々を笑顔にする」というCSR(企業の社会的責任)目標の実現に向け、「任天堂DNA」を重視している点です。任天堂DNAとは「独創性・柔軟性・誠実さ」の3つの要素で構成される、いわゆるミッションステートメント(価値観、行動指針)です。

このDNAを体現するために、福利厚生制度の充実に加え、休暇制度・評価制度の整備のほか多様性を尊重するパートナーシップ制度の導入、社内向けの自己紹介サイトの設置など、さまざまな人事施策に取り組んでいます。

このように社員一人ひとりが自分らしく働ける環境を提供し、常に新しいアイデアが生まれる職場を作り上げていることが、任天堂の強みであり、業界のパイオニアとして走り続ける理由といえるでしょう。

Finasee編集部

「インベストメント・チェーンの高度化を促し、Financial Well-Beingの実現に貢献」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAやiDeCo、企業型DCといった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。

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