『髙田賢三 夢をかける』東京オペラシティ アートギャラリー で 世界的ファッションデザイナーの没後初となる大規模個展

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日本人のファッションデザイナーとしていち早くパリに進出し、斬新なアイデアで常識を打ち破るスタイルを次々と生み出した髙田賢三(1939-2020)の没後初の大規模個展が、初台の東京オペラシティアートギャラリーで、7月6日(土)から9月16日(月・祝)まで開催される。

姫路市出身の髙田は、1958 年に文化服装学院に入学。1960 年には若手デザイナーの登竜門である「装苑賞」を受賞し、ファッションデザイナーとして第一歩を踏み出した。単身で渡仏後、1970 年に自らのブランドを立ち上げ、木綿の新しい可能性を打ち出したことで「木綿の詩人」と称され、また独特の色使いや柄の組み合わせを用いたことから「色彩の魔術師」とも呼ばれた。日本人としての感性を駆使した作品は、国境や文化、性別を自由に超え、西欧中心の伝統文化にとらわれない新しい衣服を示唆することとなる。1999年にKENZOブランドを去るまで第一線を走り続けたが、クリエーターとしての活動はその後も続き、2004年のアテネオリンピック日本選手団公式服装のデザインや舞台衣装の制作、企業とのコラボなども展開した。

1971‐1972 秋冬 文化出版局 ©High Fashion 1971年 10月号 撮影:大西公平

同展はそうした髙田の初期から晩年までの活動を紹介すると同時に、その人柄を語るトピックを織り交ぜながら、魅力あふれる人生を紹介するもの。ファッションの変遷を衣装展示でたどるとともに、幼少期から描いていた絵画やアイデアの源泉となった資料、デザイン画なども並べ、多角的な視点で人物像を浮かび上がらせる構成がとられている。

大きな見どころは、世界を魅了した髙田の衣装を国内外のコレクションから厳選して展観すること。前半は、装苑賞の受賞作をはじめ、「ニット」「バルーン」といった素材や技法、「アンチクチュール」「ミリタリー・ルック」など、1970 年代に発表したテーマに着目して展示。後半では、世界各地の民族衣装に着想を得た1970〜80年代のフォークロア作品が一堂に会する。なかでも、約20年間にわたって集めたリボンで制作し、1982年に発表したウェディングドレスは、1990年のKENZOブランドでの最後のショーにも華を添えた逸品。このショーの様子は、デジタル化した映像でも紹介される。日本人デザイナーのパイオニアとして世界で活躍した髙田賢三の自由で華やかなファッションの世界を満喫したい。

1972 春夏 文化出版局 ©装苑 1972年3月号 撮影:岩田弘行

<開催概要>
『髙田賢三 夢をかける』

会期:2024 年 7 月 6 日(土)~9月16日(月・祝)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
時間:11:00~19:00(入場は18:30まで)
休館日:月曜(祝日の場合翌火曜)、8 月 4 日(日)
料金:一般1,600円、大高1,000円

公式サイト:
https://www.operacity.jp/ag/

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