酒田酒造、待望の地酒「酒田早生」新たに醸造 在来米を復活させ日本酒に

酒田で開発された米を復活させて作った日本酒「酒田早生」の試飲会=酒田市・産業会館

 上喜元などの銘柄で知られる酒田酒造(酒田市、佐藤正一社長)は、地元で誕生し現在は作付けされなくなった食用米「酒田早生(わせ)」を復活させ、同名の日本酒を造った。酒田の在来米を酒田で醸造した待望の地酒だ。お披露目・試飲会が25日、同市産業会館で開かれた。

 酒田早生は1912(大正元)年、豪商・本間家の農場で変種から誕生した。30年ごろには県奨励品種とされ、本県や隣県でも多く作付けされた。戦後に米の品種改良が進み、姿を消したと考えられている。

 在来品種の米で造られた日本酒は、庄内2市3町でなぜか酒田市だけなかった。酒田にも真の地酒を造ろうと、元県農業総合研究センター水田農業試験場長の大渕光一さん(同市亀ケ崎4丁目)が提唱。佐藤社長が賛同し、酒田早生の酒造りが決まった。同センターで保管されていた種子を活用し、市内の生産者が8アールの田んぼで栽培した。

 多くの人に楽しんでもらうため、同社としては、アルコール度数は低めの15.1%に設定。米の風味を生かすため純米吟醸と同じ精米歩合とした。ラベルには山居倉庫や獅子頭など酒田を象徴するデザインをあしらった。同社担当者は「すっきりと飲めるお酒になった。ゆくゆくは酒田のお土産品にしたい」と語った。

 720ミリリットル入りで2500円(税抜)。7月上旬から、市内の酒販店で限定450本ほどを販売する予定という。

酒田で開発された米を復活させて作った日本酒「酒田早生」の試飲会=酒田市・産業会館

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