子育て世代の“東京離れ”加速…きっかけは「コロナ禍」 23区家賃9年でプラス6万円 原因は“投資目的”での売買価格の高騰

東京都の家賃高騰により、子育て世代の都外転出が加速している。
23区のファミリー向け物件の平均家賃は22万円超で、過去9年間で約6万円も上昇している。
賃貸の高騰は、投資目的のマンション購入の増加が原因だという。

約9年間で6万円増…東京の家賃が高騰

子育て世代の“東京離れ”に、歯止めがかからない状況となっている。

元気よく出迎えてくれたのは、都内から千葉・流山市に引っ越した石射さん一家だ。
ここ最近、都内から引っ越してくる家族が周りでも増えているという。

東京から引っ越した石射正曜さんは「町のパパ・ママ友も都内へ通われてる方、たくさんいます」と話す。

正曜さんが「どういうとこがいいところ?」と聞くと、長女・桃花ちゃんは「人が多いところ」と答えた。

東京都民の人たちに、都内に住むことについてのデメリットを聞いた。

渋谷区在住の人は「物価高が続いてるので、家賃も上がってきますよね」とコメント。
北区在住の人は「神奈川からこっち(東京)に引っ越したんですけどやっぱり高い。でも(夫と)ずっと話してるのは、家を買うなら神奈川がいいねっていうのは言ってます。家賃の関係で」と話している。

25日に発表されたデータによると、東京23区にあるファミリー向け物件の平均家賃は、22万円以上で、統計を取り始めた2015年からの約9年間で6万円近くも高くなっている。

どうしてこんなに家賃が高くなっているのだろうか。

住宅ジャーナリスト 榊 淳司さんは「賃貸が上がる理由というのは、マンションを投資で買う人がいるんですね。投資で買う人はどうするかいうと、賃貸に回して利回りを取るわけです。今世界中で主要国で不動産の価格が下がっていないのは日本だけ」と話している。

榊さんによると、東京の分譲マンションは投資目的での売買が盛況で、売買価格の高騰を受けて、賃貸物件の家賃も高くなっているという。

さらに投資目的でマンションを購入する中で、最近特に増えていることがあるという。

住宅ジャーナリスト 榊 淳司さんは「中国系の方って非常に決断が早いんで、パッと15分見ただけで『これ私買います』って決めちゃう。日本人はその場で2億即決なんてほぼいません」と話す。

家賃の高騰を受けて、加速している“東京離れ”。
そのきっかけは「コロナ禍」だったと、埼玉・川越市にある不動産業者は話す。

カタチス川越店 中原 大珠店長は「出勤せずにリモート(ワーク)でいいのであれば、田舎の広い家に住みたいみたいなもので、移住される方が増えてきた気がします」と話している。

コロナ禍以降、30〜40代の転出増加

30代が首都圏で東京都から転出した先を多い順にまとめたものを見ると、1位は、さいたま市で、神奈川・茅ヶ崎市、横浜市と続く。
イット!が取材したのは、4位の千葉・流山市だ。

自身で不動産会社も経営する石射さん。
住んでいる分譲マンションの価格は、3LDKで現在6000万円台で、都内23区の新築マンションの平均価格と比べると約4000万円安くなる。

株式会社Myla 石射正曜代表は「毎年来た時よりもベビーカー押しているご家庭が多いような気がします。年齢は30〜40代が多い」と話している。

出生率が0.99と初めて1を切った東京都。
その要因の1つと考えられるのが、石射さんたち子育て世代の“東京離れ”だ。

総務省の報告によると、20代は今も東京への「転入」が超過する状況が続いているが、30代・40代は、コロナ禍以降、転入より転出が増えている状況となっている。

いったいどのようにすれば、子育て世代の東京離れを防げるのだろうか。

住宅ジャーナリスト 榊 淳司さんは「本当に買って住みたい日本人は買えなくて、投資目的の中国人が買ってしまってるっていうようなことはあります。でも日本はそういう資本主義の国なんで経済取引は自由なんですね」と現状を指摘する。

そして、「だからそれを無理くりにやめさせるというようなことはよろしくない。本来住むためのものでしょう。(家賃が)下がる時が来て、(投資)目的で買った人たちは損をする。そういう流れになっていく(と期待)」と話している。
(「イット!」 6月25日放送より)

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