エンジン燃焼試験成功 南相馬の宇宙ベンチャー、学生が部品製作

(写真上)点火され燃焼する小型ロケットエンジン(写真下)学生が製作した金属部品

 福島県立テクノアカデミー浜とロケット開発の宇宙ベンチャー「AstroX(アストロエックス)」(南相馬市)は25日、同市で小型ロケットエンジンの燃焼試験を行い、成功した。エンジンの一部には学生が製作した部品を使った。試験で得られた推力や燃焼程度のデータを生かし、8月にも市内でこのエンジンを搭載した小型ロケット(長さ約2メートル、重さ7~8キロ)を打ち上げ、高度300メートルへの到達を目標としている。

 エンジンは、燃料となるプラスチックに、酸化剤の亜酸化窒素を流し込み、点火させる仕組み。同校機械技術科の学生6人が、酸化剤が燃料に流れ込む部分の金属部品を手がけた。

 部品の大きさは全長6センチほど。ステンレス製のためさびにくく丈夫な一方、加工が難しいという。同社が提供した設計図面を基に、学生はワイヤやドリルを使って加工し、内部に酸化剤が流れる穴を開けた。福島ロボットテストフィールドの施設を利用し、金属の変形を防ぐ熱処理も施した。

 試験でエンジンが点火されると、大きな音とともに5秒間ほど燃焼が確認された。部品を製作した同校の管野滉也さんは「宇宙産業に携わることができてうれしい」と語り、同社最高技術責任者の和田豊千葉工大教授は「部品が正しく動き、彼らの技術力の高さが証明されたと思う」と述べた。

 ロケットの組み立て南相馬に新たな拠点

 アストロエックスは、南相馬市にロケットの組み立て拠点を設ける方針で、県立テクノアカデミー浜と今後もロケット開発の人材育成や技術試験で連携を進める。同社は気球からロケットを打ち上げる「ロックーン方式」の開発に取り組んでおり、将来は市内からの打ち上げも視野に入れる。

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