ソフトバンク、1対多運航のソリューション「SoraBase」やAI搭載点検ドローン「AiDEN」を披露!

by せりぽよ

産業用ドローンによる点検や測量、監視などのソリューション「SoraBase」

「SoraBase」の説明パネル

ソフトバンクは、有人地帯における補助者なしの目視外飛行(レベル4飛行)を見据えた法人向けのドローンサービス「SoraBase(ソラベース)」の提供を、2024年6月5日に開始した。

「SoraBase」では、アミューズワンセルフが開発した長時間の飛行が可能なドローンなどを販売するほか、飛行代行サービスやドローンを活用した測量・点検などのソリューションを提供する。

日立製作所の「UTM」とSoftBankの「CloudGCS」の連携による1対多運航の実現

モニターに映るCloudGCSとUTMの画面

ソフトバンクは、1人の操縦者が複数の機体を運航する「1対多運航」を想定した遠隔制御ソリューションとして、同社の通信ネットワークとクラウドを活用して、遠隔からドローンを制御するシステム「CloudGCS(Cloud Ground Control Station)」の開発を進めている。

この遠隔制御ソリューションの実現に向けて、ソフトバンクは日立製作所のドローン運航管理システム「UTM(Unmanned Aerial System Traffic Management)」と、ソフトバンクの「CloudGCS」を連携させる検証実験を2024年5月17日に実施した。

「CloudGCSと連携した日立製作所の運航管理システム」を解説するパネル

検証実験ではオペレーター1人がドローン2機を飛行させて点検作業を行うシーンを想定し、CloudGCSで飛行経路の設計を行うとともに、UTMで有人機や無人航空機などと飛行経路が重複しないことを確認した。また、有人機などに接近した場合や飛行禁止エリアに進入した場合は双方のシステム画面にアラートが表示され、オペレーターがドローンを緊急停止することができたとのことだ。

ドローンの飛行経路設計や緊急時のアラート、遠隔制御などの1対多運航のオペレーションが可能になることや、遠隔制御システムの有用性を確認した。

モニターに映るCloudGCSとUTMの画面

DJIでは対応しきれない国産機体の遠隔操作に対応

アミューズワンセルフの機体「GLOW.H」

Japan Drone 2024では「SoraBase」に対応したドローンとして、アミューズワンセルフが開発した「GLOW.L」や「GLOW.J」などを展示した。これらの機体はグリーンスキャナーなどの測量機器の搭載や、ハイブリッド型による長時間飛行が特徴となるドローンだ。

アミューズワンセルフの機体「GLOW.L」

DJIは自動飛行ソフトウェアを提供しているが、DJI以外の機体には対応していない。一方「SoraBase」は、DJIのドローンでは対応しきれない国産の機体を対象としている。携帯通信を使って遠隔地のドローンを操作できるのが特徴だ。

韓国ドローンメーカーNEARTHLABと提携しAI搭載ドローン「AiDEN」を導入予定

AI搭載ドローン「AiDEN」のモック

ソフトバンクは風力発電所のメンテナンスを手掛ける韓国のドローンスタートアップ「NEARTHLAB(ニアースラボ)」と提携し、同社の風力発電向けドローン点検のライセンスを取得し、日本国内での風力発電所の点検サービスを受託している。

そして、ソフトバンクは今後NEARTHLAB社と提携し、同社が開発中のAI搭載ドローン「AiDEN」を導入予定とのことだ。

「AiDEN」前方に備えたカメラ

AiDENは風力発電のブレード(プロペラ)の点検に特化した機体であり、カメラでブレードの形状を認識しながら自律飛行し、GPSよりも高精度な制御ができる。耐久性も優れており、風速20m/sでも安定飛行が可能だ。

AIを搭載しているAiDENは、対象となる風力発電風車のブレードを撮影後、自動でデータをクラウドにアップロードし、アップロードされたデータをAIが解析することでブレードの損傷レポートを自動生成できる。

Japan Drone 2024では実機ではなくモックアップの展示であったが、2025年以降に販売を予定している。

同社は今後の展望として、AiDENを使用し、日本国内の風力発電所の点検サービスを拡大し、安心・安全な「空の移動革命」の実現に向けてセキュリティ対策技術の開発を進め、次世代モビリティ産業の成長に貢献していくとのことだ。

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