教師に「あんたはおかしい」と言われ不登校に。LGBTQの子どもも安全な学校目指し、できることを

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LGBTQ当事者を支援する認定NPO法人ReBitが、性的マイノリティの子どもたちも安心安全な学校環境づくりに向けて、クラウドファンディングを行っている。

これまで子どもたちから、教師にカミングアウトをしたら「あんたはおかしい」「思春期の一時的な気の迷い」などと言われ、学校にいけなくなったといった声が上がった。

そうした現場を改善するため、教師200人の声を元につくる、学校環境での実践事例集「学校できることキット」を開発したり、それを活かして教員を育成したりすることを目指す。目標金額は300万円で、7月31日までCFサイト「CAMPFIRE」で寄付を募っている。

◆10代のLGBTQの約半数が「過去1年に自殺を考えた」

電通グループの「LGBTQ+調査2023」によると、LGBTQ+当事者層の割合は9.7%。「30人クラスに1〜3人はいると想定される」という。

だがこれまでの調査で、LGBTQ当事者の68%が小中学生時代にいじめの被害に遭い、LGBTQ学生の約70%が過去1年に学校で困難やハラスメントを経験したという結果が分かった。

学校のLGBTQに関する取り組みに関する調査(2023年)では、当事者の学生の9割弱(小学生89.6%、中学生84.8%、高校生84.6%)が、身近でLGBTQや性の多様性のことを相談できる場所や人を「知らない」と回答した。

ReBitは「このような状況は、10代のLGBTQ当事者の48.1%が、過去1年に自殺を考えたことがあるという喫緊な状況につながっています」と分析する。

◆教師とともに、「学校での日常を変える」

2023年6月に、「LGBT理解増進法」が制定され、学校でのLGBTQへの取り組みが、初めて努力義務と規定された。

一方で、学校での理解促進・相談対応・環境整備をどのように進めて良いか、学校や先生から「どう取り組んだらいいのかわからない」という声が数多く届いているという。

そうした現場を受け、クラウドファンディングでは「学校での日常を変える」ことを目標に、以下の2つの実現を目指すという。

(1)教師200人の声を元に作る、LGBTQの子どもも安心安全に学校に通える工夫を集めた実践事例集と相談対応集「学校できることキット」の開発・無償配布

(2)「学校できることキット」を活用して学校を変えていく先生たちの育成・伴走

ReBitの藥師実芳代表理事は、「学校を安全な環境に変えていくためのキーパーソンは、学校の『アライ(支援者)先生』だと信じています」とコメント。

「先生たちが、どのように学校を変えられるか、そして相談をどのように対応できるかをまとめた虎の巻集『学校できることキット』を作りたい。そして、それを使って学校を変えていく『アライ先生』たちとの全国的なコミュニティを作って、いっしょに学校を変える旅路を伴走したい。そしてそれが事例となり行政・学校などに広まってほしい」

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