記帳したら知らない振込主の名前が…このまま放置しても大丈夫ですか?

身に覚えのない振り込みがあった場合の対応

銀行の通帳を記帳したところ、身に覚えのない振込主の名前が記載されているケースがあるかもしれません。誤振込の可能性があるため、早めの対応が必要です。

振込依頼人がすぐに誤振込に気づき「組戻し」の手続きをした場合は、銀行から受取人に振込金の返却についての連絡が来ることが考えられます。特に連絡などがない場合は、早めに振込依頼人と取引内容を確認する必要があるでしょう。ただし、振込元の口座情報は個人情報にあたるため直接開示してもらうことはできません。

住信SBIネット銀行によると、振込依頼人と連絡を取るには、銀行を通して振込元金融機関へ振込依頼人の連絡先開示依頼を行います。振込依頼人の了承が得られると、振込依頼人の連絡先が知らされ、当人同士で直接、口座情報や送金内容の確認をすることになります。

振込依頼人からの連絡を希望する場合は、連絡先を銀行へ伝えて、振込元金融機関へ伝えてもらうことも可能です。

振り込まれたお金を使うと罪に問われる可能性があるため注意

誤振込だと分かっていながら、お金を引き出して使ってしまう人もいるようです。しかし誤振込のお金は民法上「不当利得」とみなされ、第703条により返還義務が生じる可能性があります。使ってしまった場合は、以下のような刑法に該当するとして、罪に問われる可能性もあるため注意が必要です。

・窃盗罪
ATMで誤振込のお金を引き出した場合は、銀行の意思に反して現金の占有を移転したとして刑法第235条の窃盗罪にあたると考えられます。

・詐欺罪
銀行の窓口で誤振込のお金を引き出した場合は、銀行員をだましたとして、刑法第246条の詐欺罪に問われる可能性があります。

・電子計算機使用詐欺
オンラインでカジノ業者へ振り込んだなどの場合は、人をだます行為には該当しません。しかし刑法第246条の2で定められている電子計算機使用詐欺にあたる可能性があります。

その振り込み、ヤミ金融による押し貸しかも!?

身に覚えのない振り込みは、ヤミ金融による押し貸しである可能性もあります。金融庁によると、押し貸しとは「契約してもいないのに勝手に銀行口座に現金を振り込み、法外な高金利の利息などを請求する」悪質業者の手口とされています。

一度違法な金融業者から借り入れをすると、業者間で情報が共有され、押し貸しにつながるケースも考えられます。押し貸しでは、脅迫めいた取り立てが行われることがあり、精神的に追い詰められて違法な高金利の利息を支払わされる可能性もあるため注意が必要です。

ヤミ金融業者の口座とのやり取りにより、警察から共犯またはマネーロンダリング(資金洗浄)として疑われるリスクもあります。その結果、口座凍結や新たに口座を開設できなくなってしまうケースも考えられます。

最悪の事態に発展しないよう、身に覚えのない振り込みは早めに銀行へ連絡して、場合によっては警察や弁護士に相談する必要があるかもしれません。

身に覚えのない振り込みは放置せずに早めの対応を!

身に覚えのない振り込みがあった場合は、誤振込または押し貸しの可能性があるため、放置せずに早めに対応する必要があります。誤振込の場合は、早めに銀行へ連絡して、返却の手続きを行いましょう。

誤振込されたお金を引き出したり使ったりすると、窃盗罪・詐欺罪・電子計算機使用詐欺などの罪に問われる可能性があるため注意が必要です。押し貸しである場合は、ヤミ金融業者とのトラブルや共犯を疑われるリスクもあるため、放置したり手を付けたりしないようにしましょう。

出典

住信SBIネット銀行株式会社 〔振込振替〕身に覚えのない振込入金がありました。依頼人について教えてください。
e-Govポータル 民法(明治二十九年法律第八十九号) 第三編 債権 第四章 不当利得 第七百三条(不当利得の返還義務)
e-Govポータル 刑法(明治四十年法律第四十五号) 第二編 罪 第三十六章 窃盗及び強盗の罪 第二百三十五条(窃盗)、第三十七章 詐欺及び恐喝の罪 第二百四十六条(詐欺)、第二百四十六条の二(電子計算機使用詐欺)
金融庁 違法な金融業者にご注意!(5)悪質な業者の例

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

© 株式会社ブレイク・フィールド社