定額減税の影響で、7月以降は「住民税の天引き」が増えるかも!? 思いがけない“手取り減”に要注意な理由とは?

そもそも定額減税とは

定額減税とは、給与から天引きされる税金から4万円が控除される減税制度です。つまり、給与から差し引かれる税金が4万円少なくなるので、手取りが4万円多くなります。

「じゃあ、働いていない人は定額減税の対象外なの? 」と思った人もいるかもしれませんが、安心してください。扶養家族がいる人については、その家族分についても代表して定額減税を受ける仕組みとなっています。

例えば、夫が妻と子どもの2人を扶養している場合、夫は4万円×3人=12万円の定額減税を受けられます。

ちなみに、年収によってはそもそもの税金が4万円未満だという人もいるでしょう。また、扶養家族が多い人は定額減税の金額も多くなるので、年収によっては減税分を引ききれないケースも考えられます。

となると、「引ききれなかった定額減税は無駄になってしまうの!? 」と心配になるところですが、これも大丈夫です。2024年の年末調整において、引ききれなかった定額減税分は還付される仕組みとなっています。減税額+還付額=4万円となるわけです。

定額減税の方法

定額減税される4万円は、所得税分3万円と住民税分1万円に分かれます。所得税については、6月以降の給与または賞与の源泉所得税から控除され、差し引けない金額については翌月の給与に繰り越されます。そして年末調整時点でも残っている場合には還付されるという流れです。

一方、住民税については、まず6月の給与から天引きされる住民税が一律で0円となります。そして7月以降は、年間の住民税額から定額減税の1万円(扶養家族がいる場合には、1人当たり1万円加算)を差し引いた残額を11ヶ月で割った金額が天引きされます。

7月以降の住民税の天引き額が増えるかもしれない原因は、この計算方法にあるのです。次で具体的に計算してみましょう。

年収500万円の住民税天引き額は月1000円増

定額減税によって6月の住民税が0円になる点はよいのですが、7月以降の住民税にも目を向けてみましょう。例えば、年収500万円で扶養家族がいない場合、住民税は年間で約24万円です。月々にすると約2万円ですね。

しかし2024年については、6月分が0円、7月以降は(約24万円-1万円)÷11ヶ月=約2万1000円となり、以前より1000円多くなる計算になります。

まとめ

住民税の定額減税は、6月の住民税天引き額を0円、残りを11ヶ月で納付する形となるため、7月以降の住民税の天引き額は例年より多くなる人がいます。年収500万円で扶養家族がいない人の場合では、住民税の天引き額は月1000円増え、年収が多くなるほど天引き額が増える傾向にあるため、注意が必要です。

年収はそんなに変わっていないはずなのに、7月以降の住民税の天引き額が増えた場合には、定額減税が影響している可能性が高いでしょう。

出典

国税庁 定額減税について
総務省 個人住民税における定額減税について

執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

© 株式会社ブレイク・フィールド社