都知事候補討論会ですっとぼけるも…小池百合子に清和会時代、裏金を受け取っていた可能性が浮上! 派閥上納額は安倍を超える120万円

東京都HPより

7月7日に投開票がおこなわれる東京都知事選。序盤の情勢調査では3選をめざす現職・小池百合子知事のリードが伝えられているが、そんななかSNS上では小池氏の“タヌキ”っぷりが話題を集めている。

24日、東京青年会議所が主催した都知事候補者4名の公開討論会が開かれ、YouTubeチャンネル「ReHacQ−リハック−」が中継をおこなったが、SNS上で話題となっているのは、神宮外苑の再開発に絡んだ蓮舫氏の追及。蓮舫氏は、小池氏にこう迫ったのだ。

「まさか、外苑の再開発の事業者から、都知事はパーティのチケットの購入とか、受けていませんよね?」

神宮外苑の再開発では事業者として三井不動産、伊藤忠商事、明治神宮、日本スポーツ振興センターが名を連ねているが、蓮舫氏はこれらの企業・団体からパー券を購入してもらってはいかないか?と問うたのだ。

しかし、小池氏は「パーティの開催につきましては、それぞれ法律に則ったかたちで公表をさせていただいている」「公開もさせていただいている」と回答し、事業者からパー券購入を受けているかどうかをはぐらかしたのだ。

だが、この回答に対し、候補者である石丸伸二氏が「いまの蓮舫さんの質問はイエスかノーかで答えられる」と参戦。それでもなお、小池氏は「イエスかノーか」を迫られたというのに、いつもの余裕の微笑みを浮かべながら、イエスかノーか答えずまたも同じ回答を繰り返したのだ。

関心を集めている再開発に癒着や利益誘導があるとすれば重大事であり、現職の知事として、当然、有権者につまびらかにすべき問題だ。ところが、訊かれていることには答えずにはぐらかし、煙に巻こうとするとは──。この態度に有権者が不信感を持つのは当たり前の話だろう。

しかも、重要なのは、このやりとりの後、司会者が「それはイエスということですか?」と問うと、小池氏はこう答えたことだ。

「様々な方にご協力いただいております」

パー券を購入してもらっていないのであれば、たんに「ノー」と答えればいいだけ。にもかかわらず、それができない。これは、神宮外苑の再開発にかかわる事業者からパー券購入を受けていることを認めたのも同然の回答だろう。

そもそも、小池知事は自民党の国会議員と同様、政治資金パーティで“荒稼ぎ”している。小池氏の資金管理団体「百成会」の2022年分の政治資金収支報告書を確認すると、同会は年2回、京王プラザホテルで「小池百合子と『東京の持続可能な成長を進める』勉強会」を開催。その収入はともに1920万円で、合計3912万円にものぼっている。

なぜ、1度のパーティの収入がともに1920万円で揃っているのか、不自然さを感じるが、問題はパー券購入者だ。収支報告書には、公開基準である20万円超のパー券購入者である家具・インテリア大手のニトリ(150万円)などの企業5社、東京都トラック運送事業政治連盟(合計160万円)、東京都医師政治連盟(合計150万円)の2団体がパー券購入者として記されているが、これらの企業・団体のパー券収入の合計は908万円。約3000万円分のパー券購入者の内訳は20万円以下の購入者であるために公開されておらず、有権者は確認することができない。

ようするに、小池氏は、神宮外苑の再開発をめぐって三井不動産などの事業者やゼネコンとの癒着関係を隠すため、公開基準以下の20万円以下でパー券購入を受けている、と考えられるだろう。しかも、企業としてだけではなく幹部らが個人で複数パー券を購入していれば、相当な額になる。その事実を都民に伏せていることは、完全な背任ではないか。

●小池百合子は裏金を受け取っていないのか? 派閥への上納金額は森喜朗と並ぶトップだったことも

神宮外苑の再開発をめぐる企業からのパー券購入を否定しなかった、否、できなかったという一点だけでも、小池氏が都知事の資格はない。その上、小池氏はこの期に及んでも、今後も政治資金パーティを開催しつづけることを事実上、明言している。あまりにも有権者を舐めているというほかないだろう。

だが、この討論会で、小池氏の開き直り、すっとぼけぶりに呆れ返った場面は、これだけにかぎらなかった。

それは、討論会の終盤、蓮舫氏が「ちなみに裏金もらっていましたか?」と問うた際の、小池氏の発言だ。

「裏金はもらっていたのか?」という直球の質問に対し、小池氏は「ないですね」と回答し、つづけて「パーティ券を売らないと、戻してくれないわけでしょ?」と質問返し。これに蓮舫氏は「そのシステムは(派閥に)入ってる方のほうが詳しいと思うんで」と言うと、小池氏は「いやぁ、私も存じ上げませんけれど(笑)」と述べたのだ。

小池氏は、裏金をもらったことは「ない」と断言し、システムも「存じ上げない」などとしらばっくれたが、そんなはずはないだろう。

まず、小池氏は1992年の参院選に日本新党から出馬し初当選を果たし、その後、衆院に鞍替え、新進党や保守党を経て、2002年に自民党に入党。翌2003年7月に当時は森派だった清和政策研究会に入会し、9月には小泉内閣の環境相に就任。森派への入会時点で小池氏は、参院1回を経た衆院3回生だった。

一方、裏金事件を受けて自民党がまとめた報告書では、清和会では裏金のキックバックおよび不記載がはじまったのは「遅くとも十数年前、場合によっては20年以上前」と記載。また、松野博一・前官房長官は政治倫理審査会で「(2000年の)初当選以来、派閥のパーティでいわゆるノルマがあると知らされていた」「(キックバックの仕組みは)どの時点か明確ではないが、当選後に認知していた」と説明している。

つまり、小池氏が森派に入会した2003年にはすでに裏金のキックバックははじまっており、その仕組みについても小池氏は知っていたと考えるのが自然だ。

しかも、「パーティ券を売らないと、戻してくれないわけでしょ?」などと、さも自分はパーティ券を売っていないかのようなセリフを口にしていた小池氏だが、実際は清和会所属当時、派閥に巨額の“上納”をしていた。

立憲民主党の小西洋之・参院議員が公開した2008年分の清和会の政治資金収支報告書の概要(官報に掲載)を見ると、清和会の政治資金パーティの収入約2億5000万円にのぼり、小池氏が清和会へ“上納”した寄付額は、120万円。この金額は安倍晋三氏の90万円を超え、森喜朗氏らと並ぶトップの上納額となっている。

この寄付がパーティ券の売り上げだったとすれば、当時の裏金システムからすると、小池氏には相当なキックバックがあった可能性が浮上してくる。

小西議員は、小池氏について〈売上げ2億5千万円のパーティーのノルマは幾らだったのか、キックバックは一円もなかったのか〉〈小池氏の政治団体の収支報告書には派閥からの寄付はなく、もしキックバックがあったのなら小池氏の個人資金扱いの可能性がある。それは犯罪かつ脱税だ〉と投稿しているが、小池氏に説明責任があることは言うまでもない。

●疑惑だらけの小池百合子! 説明責任を果たさず公開討論会からも逃げまくり

しかも、小池氏には、パーティ券のノルマ超過分キックバック疑惑とは別に、派閥から裏金を受け取り、不記載にしていた疑惑もある。

清和会では、三塚派から森派になった1998年から2003年の6年間にわたり、所属議員に配った資金の明細を同派の政治資金収支報告書に記載せず、受け取った議員側も不記載にしていたことが発覚しているからだ。当時の共同通信の報道によると、森派では年2回、7月と12月に「氷代」「もち代」として、衆院の当選1〜3回の議員に200万円、3・4回の議員は100万円を支給。閣僚経験者には渡さない仕組みになっていた、という。

小池氏は前述したように2003年7月、衆院3回生時に森派に入会し、9月に閣僚入りを果たしている。当時の報道を踏まえれば、2003年の入会後に「氷代」を受け取り、不記載にしていた可能性が考えられるのだ。

神宮外苑の再開発事業者との癒着に、裏金不記載疑惑……。これらの問題がクローズアップされた意味でも、選挙戦における公開討論会がいかに重要であるかが浮き彫りになったが、問題は、テレビではまだ一度も都知事選候補者による討論会が実施されていないことだ。19日に日本記者クラブでおこなわれた共同記者会見では蓮舫氏が「毎日のようにテレビ局から討論会の依頼が来るが、小池氏が多忙を理由に断っているため番組の企画が成り立たないと言われている」と発言。このとき、小池氏は「公務で忙しい」などと述べていたが、ようするに、小池氏は説明責任を果たさないばかりか、あらゆる疑惑があぶり出されて追及される場から、逃亡しているのだ。

その上、問題は、選挙を目の前に控えているにもかかわらず、現職の知事である小池氏のこれらの疑惑の追及や検証が、メディアにおいてまったくなされていないことにもある。

検証や追及がなされていないのは、小池氏の“政治とカネ”の問題だけではない。これまで掲げてきた選挙公約について小池氏が達成したとする数字の詐術についても、ほとんどの大手マスコミがスルー。ワイドショーが食いつきそうな学歴詐称疑惑についても、踏み込んで報じたのは『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)ぐらいだ。

現職として都民の審判を受けるべき立場にありながら、説明の場から逃げる小池知事。そして、その欺瞞と数々の疑惑を報じないメディア──。これで、都民が賢明な判断を下すことが可能なのだろうか。

【編集部追記】小池百合子から清和会への派閥上納額を当初「1200万円」としておりましたが、「120万円」の間違いでした。お詫びして訂正します。(2024/06/26 21:00)

(編集部)

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