定食屋で食べ残しを「持ち帰りたい」とお願いしたら、拒否されました。もったいないのになぜ…?

食べ残しの持ち帰りを禁止している飲食店があるのはなぜ?

食べ残しの持ち帰りを拒否する飲食店があるのは、食中毒のリスクを考えてのことです。

厚生労働省は食べきれなかった料理を持ち帰る際の留意事項として、「生ものや半生などで加熱が不十分なものの持ち帰りは避けること」「帰宅後に加熱が可能なものにすること」などと呼びかけています。同時に、時間がたつほど食中毒のリスクが高まるため、すぐに帰宅できない場合は持ち帰りはやめることなども留意事項に挙げています。

また、飲食店に対しても十分に加熱された食品以外の持ち帰りには応じないようにするよう呼びかけていますが、どのような料理であっても持ち帰りを一切禁止としている飲食店も少なくありません。

食べ残しが発生すると廃棄する必要がありお店の損失になるため、できるだけ食べ残しが発生しないよう、料理を提供するタイミングを調整したり、消費者が食事量を調整できるように工夫したりしている飲食店もあるでしょう。

食べ残しの持ち帰りが可能な場合の注意点は?

食品ロスを削減するため、食べ残し持ち帰りの普及・定着に向けた取り組みを行っている自治体もあります。食べきれなかった食品は利用客の自己責任で持ち帰ることを認め、持ち帰り容器の提供などを行っているため、チェックしてみるとよいでしょう。

もし食べ残しを持ち帰ることができたらその分の食費が浮きます。例えば、スーパーやコンビニなどのお惣菜を購入して食べるより、持ち帰った食べ残しを食べる方が、500円分ほどの節約につながるかもしれません。

ただし、厚生労働省は、消費者が食べ残しを持ち帰る際の注意点として「手を洗ってから、清潔な容器に入れること」「帰宅後は再加熱してから食べること」「持ち帰る途中で暖かいところに置かないようにすること」などと呼びかけています。

自己責任で持ち帰る際は、食中毒のリスクを十分に理解したうえで食品をしっかり管理しましょう。

食品ロスの廃棄コストはいくらかかるのか?

消費者庁によると、日本における食品ロスは年間522万トン発生しており、そのうち飲食店などの事業者からは全体の53%を占める275万トン排出されています。事業系食品ロスには、食べ残しをはじめ、規格外品や返品・売れ残りなどが含まれます。

食品ロスを含む一般廃棄物の処理費用には年間約2兆円が使われており、国民の税金で賄われているのが現実です。国民一人当たりの年間負担額は1万6800円といわれているため、こうした「もったいない」を減らすために、自分にできることから考えていきましょう。

外食のときは、食べられる量を注文したり、小盛りやハーフサイズを選んだりするなど、食品ロスを少しでも減らすために意識することが大切です。

持ち帰りを拒否されるのは食中毒のリスクを減らすため

飲食店で食べ残したものを持ち帰ろうとしたところ、お店から拒否されることもあるでしょう。お店としては食中毒のリスクを考えて持ち帰りを拒否している可能性が高いため、「もったいない」と思うかもしれませんが、理解しなければなりません。

食べ残しの持ち帰りが可能であっても、リスクを理解したうえで自己責任で食品を管理することを忘れないようにしましょう。

日本では、食品ロスの廃棄に多額のコストがかかっています。そのことをよく考え、飲食店ではなるべく食べ残しを出さずに済むよう、食べきれる量を意識して注文することをおすすめします。

出典

厚生労働省 食品 食べきれなかった料理を持ち帰る際の留意事項
消費者庁 食品ロス削減ガイドブック

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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